ナニーがついた愛の嘘 [ミシェル・セルマー]
SHALOCKMEMO855
「ナニーがついた愛の嘘 The Nanny Bombshell 2012」
ミシェル・セルマー 土屋 恵
愛にあふれたミシェル・セルマーの作品です。終盤秘密が明かされる大逆転もあり,十分楽しめる作品でした。ナニーものは数多くあり,兄夫婦の遺児を弟とナニーが育てるというありきたりの設定ではありますが,ナニーがついていた嘘に裏切られた気持ちで突き放しはするものの,ヒーローが思い直すという部分もそう変わった設定ではありません。それでも本書に惹かれる理由は二つ。一つは訳本表紙の白いドレス姿のヒロインの美しさ。ヒーローのクープが完璧だと言うヒロイン,シエラを彷彿とさせる姿です。もう一つは,ヒロインが妹ジョイとともに語る両親のことが姉妹でも全く見方が異なっていたり,ヒーローの兄夫婦の姿がナニーから明かされて,その本当の姿が見えてきたりする点です。そして,完璧だと思われていたシエラもループが自分の本当の姿を愛してくれるようになることが必要だったこと,完璧な人間などないのだとする作者のメッセージが込められている点だと思います。ありのままがいい,ありのままを愛することが本当の愛だという強いメッセージが伝わってくる作品です。
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