イタリア富豪は甘く償う [キャサリン・ジョージ]
SHALOCKMEMO883
「イタリア富豪は甘く償う Dante's Unxepected Legacy 2014」
キャサリン・ジョージ 東みなみ
4月最初の読了本は,本作になりました。先月はひとつきでこれまでで最高の25冊を読了しましたが,すばらしいヒロインたちにも恵まれました。さて,本作です。会計士になる夢を断念し税理士として事務所で働く女性ローズ・パーマーは,一人娘ベアトリス・グレイス・パーマーの妊娠と出産の過程でシングルマザーとして生きることを決意し現在の職に就いたのでした。大親友でイタリア在住のシャーロット・ヴィラーリから緊急の電話があり,急遽ベアトリス,愛称ビーを母に預けてフィレンツェに向かったローズ。ホテルで彼女を待ち構えていたのはシャーロットからの手紙を携えたダンテ・フォルティナーリでした。実はビーは,4年前ローズがダンテと一夜を共にしたときに出来た子供だったのです。しかしローズはビーの父親が誰かは母親にも親友にも一切秘密にしていました。もし,一人に知られれば,すぐに事実がみんなに伝わってしまうことを恐れたからでした。ダンテとの再会は予想していたものとは異なりました。ダンテはすでに離婚して何年も経っており,離婚したことで反って清々していると言い切ったからです。ダンテに捨てられたと思っていたローズにとって,これはちょっと大きなひと言でした。しかし,ダンテと一緒に食事をしたり市内観光の案内役を買って出てくれたことには感謝せざるを得ませんでした。シャーロットからは自分が誘っておきながら突然ニューヨークに旅立たなければならなくなったことの詫びの言葉と滞在中のお小遣いとして幾ばくかの現金が添えられていました。翌日はダンテの案内でフィレンツェでの休日を楽しく過ごしたローズ。しかし,ビーのことをダンテに伝えるべきか,迷いに迷うローズでした。帰国したローズの元をダンテが訪れたのは数日後でした。自分がまだダンテに惹かれていること,それをダンテに知られることはビーの存在を知られることにもなることを恐れるローズ。そして何より,ダンテの本当の気持ちが分からないローズでした。このあと紆余曲折があり,4年前の出来事がローズの思っていたものとは違っていたことも知り,ビーが自分の娘であることをダンテがうすうす感じていることもわかってきたローズ。思い切って打ち明け,ダンテに結婚を申し込まれた後も,ダンテの自分への愛情に確信が持てないまま申し出を断ってしまうローズ。イタリアのダンテの家族とのパーティで自分もビーも大切にされることがわかってもなお,ダンテの自分への気持ちに確信が持てないまま結婚を承諾してしまうローズ。そして,結婚式までの1カ月で再度の妊娠に気づくローズ。ちょっとローズの頑なさとあまりにもダンテに対する期待の大きさに読者もイラッとする感じです。これはもしかして作者の実体験?などと疑ってしまうようなストーリー展開です。これほどめでたく恵まれた結婚もないでしょうに・・・。
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