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ビューティフル・レイン [シャロン・サラ]

SHALOCKMEMO900
ビューティフル・レイン Going Once 2013」
シャロン・サラ 仁嶋いずる





"Forces of Nature"3部作の第1弾。FBI捜査官テイト・ベントンと画家ノーラ・ジーン・ランドリーのロマサスです。シャロン・サラのサスペンス・ロマンスの中でも特にサスペンス色の強い作品で,狂人ストーム・チェイサーことハーシェル・インマンが活躍するシリーズの第1作となります。本作のみでストーム・チェイサーが捕まらないことで,次作への興味がさらに強くなるストーリー展開になります。久方ぶりにアドヴェンチャー風味のロマサスを読み,そもそもミステリからロマンスに読書の方向を切り替えた10年前のことを思い出しながら,一気に全部を読むことが出来ないほどの興味が沸いてきました。まさに沸騰の一作でした。リンダ・ハワードや初期のノーラ・ロバーツへの興味も再び沸き出すほどの傑作です。アメリカ南部のハリケーン,特にキャサリン台風の被害者であったハーシェルが,現代で洪水被害を受けた地域に立ち寄り,危機を逃れようとしている被害者たちを殺していくというショッキングな展開,何度もハーシェルを捕まえられる機会を得ながらもなかなか決定的な瞬間を得られずに悔しい思いをするFBI捜査官テイト・ベントンと仲間の捜査官たち。とても「ビューティフル・レイン」と呼ぶことが出来ないほど激しい雨と,ミシシッピ川の氾濫に被害を受けていく人々の生活と,避難生活を余儀なくされ,高校の体育館に避難する人々の生活が大震災の時に経験した自分の生活とリンクして共感を生むと同時に,ストーム・チェイサーの犯行である事情が少しずつわかってきて協力しながらも地元警察官たちが,ハーシェルのあざ笑うかのような見事な逃れぶりに翻弄される様が読者を引き込みます。そして幼なじみでありながら愛を全うできなかったテイトとノーラが再び故郷で事件の渦中に命の危険にさらされながらも愛を全うしていくストーリー展開に癒やしと安堵感を得られるすばらしいストーリー・テリングぶりに,作者サラの才能と見事な語り口に点をつけられないほどの感動を与えられる作品でもあります。時々神の恩寵のごとく現れるノーラの不思議な体験もサラ独特の語り口の自然さとなっており,作中テイトと父のわだかまりの解消,そしてもう一人の捜査官キャメロンと災害ボランティアのローラ・ドイルとの心の交流,さらにもう一人の捜査官ウエイド・ラケットがどんなロマンスを得られるかという興味とともにサイドストーリーとなって本作を形作っていきます。この3人の捜査官たちのロマンスが本シリーズの中核をなしていますが,周囲の人々の過去と現在が次第に絡まっていくであろう予測が,シリーズ全体を,そして狂人ハーシェルの運命がどうなっていくか,スリリングな中に強い興奮とカタルシスをもたらしてくれるでしょう。
SHALOCKMEMO900番の記念すべき作品としてすばらしい作品で出会いました。


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