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理不尽な愛人契約 [イヴォンヌ・リンゼイ]

SHALOCKMEMO916
理不尽な愛人契約 The Pregnancy Contract 2011」
イヴォンヌ・リンゼイ 菊田千代子





お嬢様だったと思っていたパイパーは父の死によって,自分が一文無しだと知る。そして父の片腕として会社の経営ヺ引き継いでいたウェイドが財産をすっかり譲り受け,さらに父の治療のための高額の医療費も肩代わりしていたこと,さらに若い頃に自分が使った父の財産も彼から借りていたことがわかる。ウェイドがパイパーに持ちかけた提案とは,彼の子供を産むこと。
子供の頃母の死後父に捨てられ,パイパーの父レックスの会社の研修生として経営のノウハウを学び,経営に携わるとその能力を発揮して業績を2倍に増やし,レックスの病のためにミッチェル家の財産を守りすっかり買い取っていたウェイドは,かつてパイパーとの恋愛で二人の間に子供が出来ると自分の子供だけは実父のように捨てるようなことをしたくないと決意していたのですが,パイパーは家を出て子供も産まなかったのでした。その恨みを忘れず8年が過ぎたのですが,パイパーの帰宅,そして無一文になっただけでなく多額の負債も抱えていて一括返還を要求し,それが出来なければということで自分の子供を産むということで借金をチャラにするという卑怯な提案をします。どうせお嬢様のパイパーが泣きついてくるに違いないと思っての提案でした。ところがパイパーが出した結論は,いくつかの条件のもとに提案を飲むということでした。一つは会社で雇って欲しいこと。派手に遊び回る姿しか知らなかったパイパーが仕事をしたがるということは想像も出来ませんでした。さらに,いくつかの条件を付けたのですが,最も驚いたのは卒業できなかった大学に戻り経営学の学位を取ろうと考えているということでした。すぐに音を上げるだろうと思っていた会社勤めも周囲のスタッフからの信頼も好かれ,問題が発生しそうなときに間に入り問題を解決するなどその能力も発揮したのでした。ある日,出先から戻ってみるとパイパーが具合が悪く相対したとのこと。心配になったウェイドが家に向かってみると交通事故を起こしたパイパーが車に閉じ込められ,救出されたばかりのところでした。幸い大きな怪我が無く字が数日残るぐらいのところでしたが,すでにウェイドの子供を妊娠しているかもしれないパイパーの身を気遣い,家で進んで世話をするウェイドでした。そしてレックスが残した文書の中に,パイパーが自然流産の結果子供を失ったことが書かれたカルテが見つかり,ウェイドはすっかりパイパーを誤解し,ひどい扱いをしてきたことを悔やむのでした。
一度子供を失っているパイパーが妊娠した子供を無事出産できるのか不安と恐怖を抱いていたことや,交通事故の後ショック状態でフラッシュバックが起こるなど精神的に参っているところに,子供が産まれたら家を出ていけなどと暴言を吐き続けたウェイドですが,パイパーが自立したくて父の元を去ったことや,アフリカ,アジアの悲惨なところでボランティアに励んでいたことなどが次第にわかってきて,すっかり誤解していただけで無く,パイパーの成長を自分が理解していなかったことに気づいてかえってパイパーが愛おしくなるという変化が本作のカタルシス部分だと思います。お姫様扱いしかしてくれなかった父から逃れるため家を出たパイパーですが,女性としての魅力は8年前よりもさらに増しており,ウェイドが参ってしまったのも謂わば必然だということでしょう。


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