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愛を見つけたギリシャ [レベッカ・ウィンターズ]

SHALOCKMEMO922
愛を見つけたギリシャ If He Could See Me Now 1999」
レベッカ・ウィンターズ 中尾千奈美





空軍軍人を父に持つレイチェル・メイナードは,父が手にした証拠写真が社会に大きな衝撃を与える可能性があるため,政府関係者から狙われ,ついに亡くなったことを知ります。そして6年前,寄宿学校で仲の良かったステラとの関係をステラの兄のニコラス・アタスによって壊されてしまったことを恨んでいるのでした。自分を助けてくれる精神科医,そして秘密の自己改造クリニックといくつかの段階を経て,ニコラスに復讐するための準備が整います。ニコラスがどこにいるのかを確かめるためレイチェルはニューヨークのニコラスの兄スタシオ・アタスの会社を訪ねるのでした。復讐するべき相手の兄なのに,レイチェルはスタシオのそばにいるとなぜかドキドキしてしまうのです。スタシオは自分がこれから甥を連れてギリシアへの船旅をするのでニコラスに会うためには一緒に行かないかと誘います。レイチェルはこの提案を断ることは出来ませんでした。客船にはスタシオの婚約者エレニも乗船する予定でしたが,船酔いがいやだとエレニは乗船しませんでした。甥のアリと3人の7日間にわたる船旅。この間にスタシオとレイチェルの間にはアリを挟んで温かい心の交流がありました。互いのすばらしさに気づいた7日間でした。チビででぶで赤毛の女の子だったレイチェルがスタシオに逢ったときには別人のようにほっそりして女性的な魅力にあふれた大人の女性に変身していたのですが,外見よりもレイチェルの優しさ,思いやりの深さ,頭の回転の良さにスタシオは惹かれていたのでした。父の持っていた証拠写真を手に入れようと,空軍のドット大佐は上司の将軍に命じられて部下とともにレイチェルの後を追っていますが,3ヶ月間クリニックにこもっていたため行方を見失っていたのでした。ギリシャに向かう船旅をしているとは全く気づいていませんでした。しかし,通話記録などからドット大佐はクリニックにいたことがわかり,レイチェルの元上司に大怪我を負わせただけでなくクリニックにも押し入りパソコンなどから情報を得ようとしますが,セキュリティを厳しくしているクリニックからは情報は得られません。しかし,ドット大佐が追ってきているのではないかと不安を持つレイチェルはクリニックの担当医師と連絡を取り合わざるを得ません。結局ギリシャにいることがわかってしまいます。そして,ドット大佐はステラの息子アリの誘拐を企てるのでした。レイチェルからみんなを危険に巻き込んでしまうかもしれないと告げられていたスタシオは警戒を続けていましたので,この誘拐劇は失敗に終わります。しかしこの事件は二人が互いに離れがたく思っていたことをさらに証明する機会になるのでした。
前後して,ステラは恋人テオとの間に一人息子アリを設けていましたがまだ若く,子供を育てる心構えをないままでしたので,アリを養子に出しいずれ引き取るつもりでいました。ギリシャとニューヨークの間を仕事の都合に合わせて行き来し,アリの様子を逐一養父母に確かめていたスタシオは,いよいよ自分がエレニと結婚しアリを引き取ってステラと住まわせようとしていましたが,独占欲の強いエレニは自分の子供でもないアリを引き取るつもりはなかったのです。次第に婚約したのは間違いだったのではないかと考えるスタシオ,そんな気持ちを持ち始めたのは勿論レイチェルと船旅で過ごした7日間の経験があったからです。レイチェルならアリとの関係もよく,ステラの気持ちも十分分かっている,そんな打算的な気持ちをなんとか忘れようとも努めます。復讐計画を思いとどまろうとするレイチェル,レイチェルに惹かれようとする気持ちを抑えようとするスタシオ,二人の思い合いながらも離れなければというねじれた関係が読者をやきもきさせます。そしてついにエレニとの婚約を解消するスタシオ。レイチェルもドット大佐から逃れるためにはスタシオの警備体制が必要で,アリを養子にするためにという言い訳を無理矢理つけてスタシオとの結婚を承諾するのでした。多くの事情が絡み合い二人の愛の行方が混沌としていくのですが,ニコラス,エレニ,そしてアリの養父母との関係などが少しずつほぐれていき,ついに結婚式にこぎ着けます。5歳という年齢ながらアリが大人のように周囲の人たちへの配慮をすることに驚きますが,シングルマザーである母親を傷つけまいとして,心を痛めていたのだろうなと思うとなんともかわいそうな気がします。アタス家の人々がこの小さなアリに励まされ,元気をもらい,優しい気持ちになっていくのが何とも快く,癒やしを与えてくれるのも本作のすばらしさだと思います。


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