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幻のシークと無垢な愛人 [クリスティ・ゴールド]

SHALOCKMEMO926
幻のシークと無垢な愛人 The Returne of the Sheikh 」
クリスティ・ゴールド 八坂よしみ





「その男性は祖国の王ではないかもしれない。でも,これからもずっとわたしの心の王でありつづけるだろう。」砂漠の国の王子3兄弟のミニ・シリーズです。第1弾の本作は,次男のザイン・メヘディ。父王は亡くなるとき後継者として長男のラフィークではなく次男のザインを指命したのでした。しかし,ザインは何かと不品行でパパラッチたちを喜ばせていた王子で,しかも長男のラフィークが父王の教えを忠実に守っていた7年間も祖国を留守にしていたのでした。そのザインが国に戻ってくるに当たって,戴冠式までの期間で国王としての品格や国民からの信頼を取り戻そうとラフィークは政治コンサルタントのマディソンと契約します。外交官だった父の移動に伴いマディソンは幼少からいくつもの国を回っており,ザインとも幼い頃出会っていたのでした。しかしその頃は眼鏡をかけて歯科矯正中であり髪の毛もまとまらないなど,今の姿とは雲泥の差だったので,きっとザインは憶えていないだろうと思っていました。初めは自分で出来るからとマディソンに非協力的な雰囲気だったザインですが,食い下がるマディソンに少しずつ協力することに同意していくザイン。初めはからかおうとして近づいたザインでしたが次第にマディソンの魅力に惹かれている自分に気づいていきます。マディソンもまたザインの魅力に負けそうになる自分を戒めるのでした。この仕事がうまくいけば自分のキャリアにとって大きなプラスになるからです。砂漠の国バジュールの長老たちは石油の採掘によって近隣の国のように豊かな国になることを主張していたのに対し,ザインは水質保全こそが国の将来にとって必要なことだという主張を持っていました。父王から支持されたことを理由に無理にでも自分の主張を認めさせようとするザインとの間に恋愛感情などを持ってしまえばせっかく素晴らしい国王になる夢を砕くことになってしまう,やがては王妃にふさわしい女性との政略結婚しか道は残されていない。二人の思いはこの点では一致していましたが,さらも父王が妻であるラフィークとザインの母を裏切っていたという,そして弟のアダンが産まれたということはザインの心に女性に対する不信感を植えつけ,絶対父王のようにはなるまいと言う強い決意を持っていました。将来のない二人の愛。そして自分が妊娠しづらい健康上の問題を抱えていることを秘密にしているマディソン。こんな二人がバジュールの美しい湖で互いを誘惑し合い,ついには宮殿に戻って一夜を共にするのでした。そしてその後,互いの思いを打ち切ることが出来ないままベッドを共にすることになれてしまう二人。愛しているの言葉こそ互いの立場の違いから口に出来ない二人でしたが,もし一生を添え遂げられれば素晴らしいことだという思いを二人とも抱えたまま,マディソンの妊娠がハッキリしてしまったのです。それは戴冠式の二日前というぎりぎりのところでした。戴冠式までというマディソンの契約にもかかわらず,マディソンはこのままではバジュールから離れることが出来ないと考え,戴冠式の早朝,宮殿を後にするのです。さて,国のために愛を犠牲にするか,愛のために王位をあきらめるかという究極の選択を迫られたザインが取った行動は・・・。次作では長男ラフィークの悲劇的な結婚と愛の遍歴が語られるようです。
原題の直訳は「シークの帰還」。ザインがバジュールに戻ることをも意味していますが,はたしてそれだけでしょうか。最終章でその二重の意味が明かされます。邦訳版の表紙のマディソンのイメージはちょっと違うような気がしますね。原作版のほうがその面影を正確に伝えているように思います。


タグ:ディザイア
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