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あの夜に宿った永遠 [アニー・ウエスト]

SHALOCKMEMO935
あの夜に宿った永遠 Damaso Claims his Heir
(One Night with Consequences 4) 2014」
アニー・ウエスト 茅野久枝





高級リゾート地を訪れた跳ねっ返りベンガリア王国王女マリサは,アスリート・ウーマン。元体操選手としても活躍したものの,現国王によって活動を制限され,しかも兄の元国王が亡くなってしまい失意のうちにいました。リゾートの経営者でブラジル人のダマソ・ピレスはスラム街の出身。王女とスラム街出身者という異色のカップルです。出自による葛藤もあり,王女の妊娠と結婚をなかなか承諾しないというストーリー展開も比較的よくあるパターンですが,ドマソもマリサもただのドマソとマリサになりきれずに結構長い間苦しみます。そしていろいろな出来事をとおして,互いの内側にある優しさや人間としての価値を次第に見つけ出し,ついには国王の戴冠式という国際的な場で愛を確認し合い,ハッピーエンドを迎えるというお話しです。自信を失った女性という設定も既読「大富豪と裏切りの薔薇」でもありましたが,マリサの場合には写真という得意技がスラム街の少年少女たちを惹きつける重要なアイテムとして,また俗物な評論家との論争も,さらにドマソの元恋人の存在も二人を結びつける重要な要素になっています。そしてドマソに忠誠を誓う元スラム街出身者たちがマリサに暖かい視線をそそぐことも物語を暖かい視点で描く作者の意図がうまく機能していると思います。表紙のイメージに描かれたマリサのモデルの圧倒的な気品あふれた美しさも本作を手にしたくなるアイテムとしては欠かせないでしょう。二人の成長譚としても充実した本作,ちょっとエキゾチックで変わった味付けのロマンスでした。


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