もう一度あなたと [シャーロット・ラム]
SHALOCKMEMO959
「もう一度あなたと Storm Centre 1980」
シャーロット・ラム 瀬戸ふゆ子
なんとも壮絶な愛憎劇です。「嵐の中心」という原題どおり,まさにそんな感じのヒーロー,アンドリアス・ケラリデス。そして嵐の中心に吸い込まれて行ってしまう画家ローレン・グレー。ちょっと名前としてはローレン・グレーはロマンチックな感じがしますが,いやいやながら病院へそしてアンドリアスの島へと引き込まれて行ってしまいます。そして自分がいっぱしの画家として生計を立てられるようになったのはひそかにアンドリアスが自分の絵を沢山買ったことに依るものだと知ったときに,その執念の深さ,それを愛情の深さだったと感じるローレンの心境の不思議さが,本作のポイントだったように思います。そしてアンドリアスの愛の深さを知っていた,その母リディアの巧みな話術。初めは悪役一辺倒だったこの母子に対して,それを信用していなかったローレンの父ジミーと画廊経営者でローレンの婚約者フィリップの行動が,善人ぶっていてそれを信じていたローレンがその正体に気づいていく過程は,まさにローレンが嵐に巻き込まれていく感じがよく分かる大逆転の結末となっていきます。それにしても男女の愛の不思議さは常識では計れないということを如実に示す見事な作品です。でも本作を好きになるかどうかは,人によって差があるでしょうね。そんな怖い作品です。
タグ:ロマンス
コメント 0