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嘘つきな秘書に口づけを [イヴォンヌ・リンゼイ]

SHALOCKMEMO968
嘘つきな秘書に口づけを Defiant Mistress, Ruthless Millionaire 2009」
イヴォンヌ・リンゼイ 小林ルミ子





両親に相手にされず,かつて路上生活を送る経験もしたカーリー・ローズ・リー。現在では会社の重要な秘書として活躍している。そのきっかけを作ってくれたのは恩人で,会社経営者の妻アイリーン・パーマーだった。最近会社の重要なポストにいる社員たちが次々にライバル会社に引き抜かれて行ってしまう。誰かが社内の情報をライバル会社に漏らしているらしい。アイリーンはカーリーにもおとり捜査的にライバル会社に鞍替えして情報を探って欲しいと頼む。恩人であるアイリーンの頼みであり,断ることが出来ずに,カーリーは自分にも声がかかったライバル会社の経営者と会って密かに情報を探るために鞍替え入試足したのだった。
その相手こそ「トレモント・コーポレーション」を一代で作り上げた若き富豪,ジョシュ・トレモントでした。やがて入社から2週間ほどで,カーリーはどうしようもなくジョシュに惹かれてしまっていることに気づきます。そしてジョシュもまたカーリーのことばかり考えてしまっていることに気づくのでした。まさに一目ぼれでありながら互いの関係は敵同士だったわけです。こんな皮肉な関係でありながら,苦しみながらもトレモント・コーポレーションの内部資料をアイリーンに渡さざるを得ないカーリーでした。ジョシュは実はアイリーンの夫ブルース・パーマーの婚外子であり,ブルースこそ人格者として知られる表の顔を異なり,自分と母を捨てた張本人だったのです。それを暴き,会社共々ブルースを社会的に葬ることがジョシュの願いでした。そのために18歳から綿密に計画を練って徐々に実力を付けてきたのでした。そのことを偶然知ったカーリーは悩みます。恩人と愛する人との間の板挟みです。そしてカーリーはジョシュがブルースを葬るタイミングを狙っている証拠となる手紙を焼いてしまおうという思い切った行動に出るのですが,途中でジョシュに止められてしまいます。そして内部情報を流したことに気づかれてしまい,おとりの資料を持ったままジョシュの会社を追い出されたのでした。そして数日後,その情報によりパーマー・エンタープライズが数百万ドルに及び大打撃を受け,その情報をもたらしたカーリーをアッサリとクビにしてしまうのでした。企業間のこういった表に出ない攻防は読んでいてハラハラしますが,まさにプライベートな憎しみから生まれた戦いが企業間の争いになっていること自体,余りにロマンス小説的筋立てだと思いますが,現実に起こりそうにないことが分かっているからこそフィクションとして楽しめるのかもしれません。恩人にも愛する人にも捨てられてしまったカーリー。また昔の路上生活に戻らざるを得なくなるのでしょうか。作者はこの復讐譚の解決策を人の良心に従って明らかにしていきます。憎しみからなる復讐はいずれ自分に跳ね返ってきて相手だけではなく自分をも不幸にしてしまう。それを必死に止めようとしたカーリーの行動がジョシュの心を動かすのでした。かつて苦しい生活,不幸な少女時代を送った経験を持つカーリーだからこそ,愛を信じ,例え裏切られても愛する心を失わない懐の広さを持つすばらしい女性に成長したのでしょう。


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