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結婚式の夜に [キム・ローレンス]

SHALOCKMEMO997
結婚式の夜に The Wedding Night Baby 1997」
キム・ローレンス 山ノ内文枝





自分の恋人を奪って結婚式を挙げようとする従姉妹の式に単独ではとても参加できないとエスコート会社に派遣を依頼したのは,広告会社の個人秘書ジョージーナ・カンピオンの元を訪れたのは,ブルーの瞳にかすかな訛りのある低音の声,仕立ての良いスーツを着ているもののたくましい肉体と危険な雰囲気を漂わせている。この時期にこんなに日焼けしているのは何故?そして,カラム・スミスと名告った彼。結婚式の新婦である従姉妹のハリエットからはたっぷりと嫌みを言われ,以前の恋人だった新郎のアレックスからは,今日の装いを見て関係を再燃させたいような誘いの言葉があり,改めてこの人と結婚しなくて良かったと思わせられます。それに対して派遣されたカラムには,助けられたりこれまでにないような「あなたは美しい」という言葉やそぶりを聞かされます。母親には例によって辛らつな言葉を浴びせられ,気落ちしていたジョージーナは結局のところカラムと関係を持ってしまうのでした。夜明け前に慌てて自宅に帰ったジョージーナですが,翌週会社に出てみると新しいボスが出社しているとのこと。緊張して部屋に入ってみるとそこにいたのは,なんとカラムでした。しかもカラム・スミスではなくカラム・スチュワートとして。そして以前のボスであったカラムの伯父との不適切な関係を仄めかされ,自分が行きずりの人とでも関係を持つような身持ちの悪い女で,現在の地位を得たのは,伯父に対するとりいりと男を操るタイプの女だと面と向かって言われます。さらに会議の席でも役員のサイモン・メイからジョージーナを面と向かって罵倒するような恥ずかしい発言を繰り返されますが,それにはカラムがきっちりと釘を刺し,ジョージーナを擁護するのでした。ボスと不適切な関係を持ってしまった自分はきっとクビだろうとカラムに申し出たジョージーナですが,通告期限まではしっかり働いて欲しいと言われます。カラムは自分が会社の経営を引き継ぐのではなく,実力者のピーター・ルエリンを社長に据えることを役員に伝えていました。引き継ぎを終えた6週間後にはピーターはジョージーナを慰留するのですが,そのときすでにジョージーナは自分の身体に異変が表れていることを知り,退社を決めていたのでした。その後,彼女の妊娠の事実はカラムの知るところとなります。そしてフランスの彼の農園で過ごすように半ば強制的に連れて行かれ,出産までの期間を過ごすことになるのです。カラムを愛し,出産を決めたジョージーナに対し,子供は二人で育てようというカラムの言葉の中に自分への愛が入っていないと思い込んでいるジョージーナの気持ちは千々に乱れるのでした。そして農園の共同経営者の妹ジョシーがカラムへの愛をはばからずに公言するに至っては,自分は決してカラムに愛されないとジョージーナは強い確信を持つのでした。そしてカラムも家政婦もいない夜,ついにジョージーナに出産の兆候が現れます。数時間後に帰ってきたカラムはジョージーナを医者に運ぼうとしますが,もう間に合わないと判断したカラムは,自らの手で赤ん坊を取り上げるのでした。そしてレイチェルと名づけられた女児をどこでどのように育てるかそれが二人の間の懸案事項となります。カラムとレイチェルの間に自分の居場所はないと信じているジョージーナは一体どうするのでしょうか。互いに両親との関係をうまく作れなかったカラムとジョージーナが,親になってきちんと子供を育てられるだろうかと不安な気持ちを抱く反面,妊娠・出産という過程を経て新しい家族として未来に向かって進んでいこうとする姿が爽やかな作品です。


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