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独りぼっちのエンジェル [モーリーン・チャイルド]

SHALOCKMEMO999
独りぼっちのエンジェル The Last Lone Wolf
キング家の花嫁) 2010」
モーリーン・チャイルド 外山恵理





サバイバル・ストーリーとして期待すると大して大きなこともなく終わってしまうのですが,可憐なデイジーの根性物語として読むとこれほど面白い作品もありません。ヒロインのデイジーが読者を元気させてくれる爽やかな作品です。第2シーズンの番外編ですが,締めくくりの作品とも,ちょっと本筋から離れた作品とも言えます。いわゆるナンバーがとぎれた作品ではありますがそれは出版社側の理由によるものでしょう。出版時期や舞台になる場所もちょっと離れてはいますが,シリーズ作品であることは間違いありません。
元海兵隊員ジェリコ・キングの山のロッジに料理人として応募してきたのは,デイジー・サクソン。「7センチはありそうな真っ赤なハイヒール,長いブラウンの髪,琥珀色の瞳,ふっくらした唇」をもつ,山の生活にはもっともふさわしくない服装をした美女でした。デイジーが海兵隊時代にジェリコが所属していた部隊で任務中に命を落としたブラント・サクソンの姉であることはジェリコは知っていました。そしてブラントの死に自分が関係していることで,一番逢いたくない人でもありました。しかし,そんなジェリコの気持ちとは裏腹に,デイジーはなんとしてでも料理人としてこのロッジでの生活をしたいと考えていたのです。そして小さな犬も連れていました。男たちの中にたった一人の女性,しかも犬を連れて・・・。何とかしてデイジーを追い返そうと思ったジェリコは,まずロッジで生活するテストに合格することを条件にしたのです。山の中でジェリコとデイジーが二人っきりで誰の助けも受けずにジェリコの課す課題をクリヤすれば料理人としておいてやると約束するのです。か弱く見えたデイジーですが,厳しい山登りや体力テストに何ら文句を言わずにひたすらジェリコについて行こうとするデイジーの根性には,ジェリコも感心します。そして山の景色や眺めに感動するデイジーのピュアな態度にも。次第にデイジーに引かれている自分に気がつくジェリコ。しかしデイジーにはこの山で暮らす別の目的があったのでした。それは,ジェリコの子供を産みたいというとんでもない企てでした。唯一の家族であった弟を失い,たった一人で生きて行くことには耐えられない。唯一家族と言えるのは小さい犬だけ。それならいっそブラントが尊敬していたジェリコの子供を授かれば,新しい家族として子供と一緒に暮らしていける。そんな切なる想いでした。山の中ではたった一度ジェリコがデイジーにキスしただけでした。それでも自分の計画に少し進展があったと喜ぶデイジー。やがてテストに合格し,料理人兼家政婦として働き始めたデイジーの明るさと料理のおいしさに訪問客たちばかりかスタッフたちも皆デイジーに夢中になっていきます。やがて,ジェリコの弟の二人が近くの湖での釣りに訪れ,デイジーとの関係をせっつくのです。結婚に対するキング家の男たちの頑なな態度を自分たちも経験している弟たちは兄のジェリコにも幸せになって欲しいといろいろと鎌をかけるのですが・・・。前作でちょっと分からなかったジェリコとジェファーソンのどちらが兄かというのが分かりました。ジェリコがジェファーソン兄さんと呼んでいるからです。ということはジェリコは4兄弟の次男ということになります。そして,ついに決意してブラントの死に自分が関係していることを打ち明けるジェリコ。しかし常に前向きなデイジーの過去にこだわるなというさっぱりした考え方と,国のために自分の命を賭けた弟を誇りに思うというデイジーの素直な考え方ですっかり心のつかえが取れたジェリコでした。1ヶ月後の様子がエピローグで描かれます。これで南カリフォルニアのキング家のストーリーは終わりですが,次の第3シーズンはどんな人たちが登場するのでしょうか。そして次はSHALOCKMEMOちょうど1000番になります。


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