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甘い週末の代償 [ケイト・カーライル]

SHALOCKMEMO1002
甘い週末の代償 Sweet Surrender, Baby Surprise
(Duke Brothers 2) 2010」
ケイト・カーライル 藤峰みちか





サリー・デューク,不幸な生い立ちの少年たちを養子として迎え深い愛情を持って育て上げた女傑です。サリーの育てた3兄弟たちの愛の物語のミニシリーズ「デューク・ブラザース」の第2弾です。アダム,ブランドン,キャメロンの3兄弟は,血のつながりはないものの,「デューク・ディベロップメント・インターナショナル(DDI)」を共同経営しており,学生時代には3人でボートレースを総なめにした兄弟以上に深い絆を持ち,互いの過去の深い傷を知り合う戦友のような関係です。第2作の本作はキャメロンがヒーローです。前作「秘書とハンサムな悪魔(SHALOCKMEMO915)」では,アダム・デュークとトリッシュ・ジェームズが結ばれましたが,第2作のヒロインは「カップケーキ」というベーカリー店を経営し,デューク・リゾートに商品を納めている職人ジュリア・パリッシュです。トリッシュだのパリッシュだの似たような名前や苗字が出てきてちょっと紛らわしくなりましたが,シリーズものの特徴かもしれません。さて,ベーカリーとはあまり聞き慣れないのですが,パンやカップケーキ,クッキーなどの焼き菓子を指すようです。敢えてケーキ屋やパン屋としないで原語のママ,ベーカリーとした藤峰さんの訳は,普通のケーキ屋やパン屋とはちょっと違うことを表したかったからだと思います。特に「カップケーキ」という店の名前が示すように,カップケーキがジュリアの得意料理なのです。経営者自らが職人でもあり,そしてジュリアの本当の姿は中盤以降徐々に明らかになっていきます。さて,富豪のデューク兄弟たちに愛のある結婚をして欲しいと願う養母サリーは陰に陽に兄弟たちに素晴らしい伴侶との出会いの場を何気なく用意し,二人がそんな関係になるやいなや嫁候補とすぐに信頼関係を築き兄弟たち以上に強固な嫁姑関係を作ってしまうという,いわゆる特技を発揮していくのですが,本作でも頑固に結婚を渋るキャメロンを結婚に至らせるために,ジュリアの美点を褒めあげ,まるで本当の母娘のような関係を作り上げてしまうのでした。実の両親の破綻した結婚生活と,かつて女性に裏切られた経験を持つキャメロンはジュリアのすばらしさや相性の良さを結婚には結びつけたくないと頑固に主張し,ジュリアをがっかりさせ続けるのですが,二人の息子ジェイクに対しては無限の愛情を注ごうとします。そんなキャメロンの態度にジュリアは悩みっぱなしなのですが,ジュリアもまた親に早く旅立たれ,寂しい生活を送ってきたため,サリーや義姉になるトリッシュと家族のような関係を結べることを心の底から願っているのでした。そしてジェイクに対して実の祖母や伯母のように接する二人の姿,そして3兄弟もまたジェイクをかわいがってくれる安心感から勇気を出してキャメロンとの関係を築いていこうとするのです。キャメロンの家に引っ越すという案を受け入れたとき,とりあえず便宜的な結婚をしぶしぶ了承したジュリアですが,それは経済的な支援を受けたいという気持ちではありませんでした。というのは,ジュリアにとってはこれは普通のシンデレラストーリーではなく,ジュリア自身が莫大な額の遺産相続人であり,宮殿のようなジュリアの家を見たキャメロン自身も驚きを隠せませんでした。しかし幼い頃からそんな巨大な家で使用人たちに囲まれて独りぼっちで暮らしてきたジュリアの孤独と独立心の強さは,仲の良い家族という自分の恵まれた環境にジュリアも入れてあげ,ジェイクとともに守ってやりたいと願う気持ちに変わっていきます。それこそまさに「愛する」ことではないかとジュリアにも兄弟たちからもせっつかれるのですが,キャメロンはなかなかそれに首を振らないのでした。かつてのトラウマにキャメロン自身が打ち克つにはどんな手が考えられるのでしょうか・・・。本作は他のロマンスのような,ヒロインのシンデレラストーリーではなく,これはヒーロー側からのシンデレラストーリーなのかもしれません。


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