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天使は大富豪に買われ [マヤ・ブレイク]

SHALOCKMEMO1014
天使は大富豪に買われ What the Greek Wants Most
Untameable Greeks Trilogy 3) 2014」
マヤ・ブレイク 麦田あかり





ギリシア人富豪の復讐譚ですが,舞台はブラジルです。“Untameable Greek”三部作の第3弾。「秘書以上,愛人未満(SHALOCKMEMO850)」「喪服の愛人(SHALOCKMEMO914)」で,サキスとアリのパンテライデス兄弟のロマンスが描かれ,本作は次男のテオが自分たちを苦しめた宿敵ベネディクト・ダ・コスタにせまり,全てを賭けて復讐していこうとする物語です。シリーズ各巻で3兄弟がボートを漕ぐ部分が登場しますが,本作でもこの場面が登場し,それぞれの愛する人がうっとりとそれを眺めるという場面がシリーズの統一感を支えています。天使(アンジョ)というニックネームのイネス・ダ・コスタは自分を支配し,利用しようとする父ベネディクトや兄ピエトロから逃れ,絵を描くという自分の夢を生かして自活していこうと考えています。しかし選挙への出馬を成し遂げようとし,選挙資金として自分への寄付を集めようとイネスにパーティーでの出資者への誘惑を命じます。そこに計画に従ってベネディクトを経済的に支援するようなふりをして近づいてくるテオが割って入り,イネスを誘惑してきたのです。家族である父や兄の頼みをむげに断れずにパーティへの出席を承諾したイネスは,突然自分たちの席に割って入ったテオに戸惑いながらも雰囲気を壊すわけにも行かずに静かに立ち去ってくれるよう願うのですが同時に,その圧倒的な男性的魅力と世界的大富豪からの誘いに惹かれる気持ちも沸き起こるのでした。テオは初めはイネスを利用してベネディクトへの復讐計画の最後の仕上げをしようと考えていたのですが,次第にイネスこそ自分には欠かせない存在であることに気づいていきます。ベネディクトの命により拉致され,南アフリカで深さ4メートルの穴に2週間も閉じ込められたため,現在でも暗闇や閉所などの恐怖症と毎晩訪れる悪夢によって十分睡眠が取れないという苦しみに苛まれてきたテオ。テオと一緒に暮らすことになってしまったイネスは,このテオの苦しみを間近で少しずつ気付いたいき,その原因が父親にあると知ったとき,肉親がテオに取り返しの付かない傷を負わせてしまったことで罪悪感をもち,何とかテオを癒やしてあげたいと本気で思うようになります。やがて会社の経営にどうにも埋まらない負債を抱えてしまい,しかも連日テオとイネスの不謹慎な行動が報道されるために選挙民からもそっぽを向かれてしまったベネディクトと対決したあと,テオはベネディクトを許そうと考えるようになります。しかしイネスはそんな父をもつ自分とテオが将来を誓い合うことはないと考えて,テオの元を去るのでした。二人の関係を修復してくれるのは誰でしょうか。意外な人物を作者は用意してくれています。愛人同様の暮らしをしながらも,ひたすらテオの魅力に嵌まっていきテオの心の傷をひたすら癒やそうとしていくイネスはまさにテオにとっての天使であり,その存在なくして,罪を許すという心情には至らなかったでしょうし,再び家族以外の人を愛するという気持ちも湧いてこなかったでしょう。素晴らしい外見の美しさに加えて内面のピュアな美しさを持ち続けているイネスは,ヒロインとしては超一流の存在でした。原題の「ギリシア人の最も望むもの」とは,イネスだったのか,愛だったのか・・・。


タグ:ロマンス
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