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キスの代償 [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO1017
キスの代償 Honorable Intentions
Billionaires and Babies 27) 2012」
キャサリン・マン 大田朋子





原題は「正式な結婚の意志」。シリーズもののレンショー・ランディス一族の関連作です。元空軍大将の長男ハンク・レンショー・ジュニアはアフガニスタンの戦闘で親友のケヴィンが目の前で銃弾を受けて命を落とし,自らも傷を負うという経験をします。父から独立しようとしながらも自ら空軍が好きでアナリストとして空軍に所属していますが,亡き母の思い出を一番強くもっているのもハンクでした。しかし,父の後妻の元国務長官で現在大使を務めているジンジャーに幼少から育てられてきており,感謝の念をもちながらも常に夫妻や兄弟たちとは一線を引いて付き合ってきました。帰国後,ハンクが家族の下に向かうよりも先に訪れたのはケヴィンの元婚約者で古くからの知り合いでもあったガブリエルと遺児マックスの元でした。時期的に丁度マルディグラの真っ最中だったニューオーリンズ。周囲の喧噪の中ガブリエルは育児に疲れ,さらにウェブデザイナーとしての仕事とさらに学位を取るために大学院での勉強をするという極限状況の中にいました。なんとか彼女の疲労や苦労を癒やしたいという思いは,単に親友の恋人というだけではありませんでした。実は戦地に向かう前日,ハンクはガブリエルにキスしてしまっていたのです。口論になりケヴィンが家を出てしまった後に残されたガブリエルを慰めるつもりでしたが,親友の妻になる人と知りながらガブリエルに対する気持ちを抑えきれなかったということに,ずっと罪悪感を抱いていたハンクでした。ガブリエルはキスは自分の方からしたのだと言いますが,彼女の中にもケヴィンの対する裏切りを後悔する気持ちがあるのでは?と逆に心の傷を心配するハンクでした。なんとか彼女の負担を減らしたいと,ハンクは静かで広い一軒家を弟ジョナの手配で借り,ガブリエルとアレックスを引っ越させます。さらにかつてのガブリエルの隣人でアパートが漏水で住めなくなった夫人をナニーとして雇い入れ,ガブリエルが休む時間を確保したりしたのでした。二人はともに抱いている互いへの関心への罪悪感,そしてケヴィンを目前で死なせてしまったハンクの心の傷に向き合うきっかけを作るためにハンクが部隊に復帰するまでの期間を過ごすことにします。その期限があと数日に迫ったとき,二人の住む家をレンショー家,ランディス家の総勢が訪れます。ガブリエルはハンクが自分をどう紹介するのか。しかし母のジンジャーは二人のことには表だって触れずに,家族で取材を受ける場にガブリエルも同席する提案をするのでした。そして,翌日,ドイツにいるはずのガブリエルの両親もやってくるではありませんか。どちらの家族も一堂に会したものの,肝腎のガブリエルとハンクの関係はすっかり冷えてしまっていました。ハンクを愛していることを認めたガブリエルは,母に心の内を洗いざらい話した後,ハンクの元に勇気を持って向かいます。「待ってろよ,ハンク!」そんな気持ちのガブリエルでした。
戦闘がもたらす心の傷,しかしそれを乗り越えて生きていく力を,家族を,愛を取り戻したと思う全ての人たちへのメッセージ。そんな意味合いを含めたキャサリン・マンの傑作です。


タグ:ディザイア
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