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永遠のジンクス [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO1022
永遠のジンクス Prince's Passion
(華麗なる兄弟たち 1) 2005」
キャロル・モーティマー 古川倫子





本シリーズの「プリンス」は「王子」の意味ではなく,アメリカの「プリンス・ムービー」という映画制作会社のオーナーであるプリンス三兄弟の苗字のことです。かつての名優デミアン・プリンスの後継者である三人の息子,ニック,ザック,リックの三兄弟が会社の共同経営者となっています。長男ニックは映画監督,次男ザックは俳優,そして末弟リックが脚本家としてそれぞれ職業を持ちつつも会社を経営しているようです。第1作目の本作は長男ニックの物語です。
世界的なベストセラーとなった小説の作家「J・I・ワトソン」は覆面作家で,その正体が出版社である「スティーヴンズ出版」ですら知らないという徹底ぶり。連絡はいつも私書箱をとおして郵便で行われるだけであり,出版社側も電話番号すらつかんでいないのでした。ニックはこの作品の映画化権を得ようと出版社と交渉してきたのですが,作家本人からは何度も断られてています。出版社の担当者ジェーン・モローが編集者に渡そうとしていた書類から私書箱の番号を盗み見たニックは,張り込みをして,私書箱を訪れた少年を発見します。しかし,少年だと思っていた人間の後を付けてみると,小柄な女性であることがわかります。これがヒロインであるジュリエット・インディー・ニクソンを見つけた瞬間でした。普段交際している女性たちの基準とは全く異なった小柄で赤毛の女性に,ニックは何故か惹かれるものを感じます。それからニックがジュリエットを追いかける日々が始まります。ジュリエットはなぜかジンクスという愛称で友人や家族から呼ばれています。そしてあるパーティに潜り込んだニックは,そこでジンクスに会うことが出来ます。もっともそれは偶然の出会いではなく,ジンクスの親友スーザン(ステイジー)とジョーダンの結婚五周年記念のパーティで,そこに妹夫婦も参加することが分かったからでした。一直線にジンクスの元に行き,話しかけるニック。ジンクスもまた身長190センチ以上あるニックの男性的な美しさに惹かれますが,自分の正体を知られているとわかり,映画化権を得るために自分に近づいてきたニックをあしらうような言葉しか発しません。ジンクスの父は母を失ってから精神的に参って人前に出なくなり,それを隠すことが必要だったのです。もし映画化されるとなればマスコミに父の生活が乱されてしまうことを恐れたジンクスが覆面作家としての自分を演出せざるを得なかったのでした。そしてさらに終盤では作品に込められたもう一つの秘密が存在したのです。身長155センチの小柄で長い赤髪をもつジンクスは,大学で歴史の講師をしている才媛ですが,本作のような12歳の少年のエンターテインメント的な小説を書く女性とはちょっと結びつかない美貌と頑固さを備えた女性です。ニックはあの手この手でジンクスを誘惑していきますが,小説の真の書き手が女性で,ジンクスであることがマスコミに知られてしまい,ニックはジンクスと父のジャックを自分の隠れ家的な家でかくまうことになってしまいます。すでにニックを愛し始めているジンクス,しかしニックと結婚というのは誰が見ても結びつかない概念です。そして作品に込められたもう一つの秘密。これが解消しない限り二人の行く末に愛に基づいた関係はあり得ません。キャロル・モーティマーはこれをどのように解決していくのでしょうか。いつもどおり見事なストーリーテリングで,キャロルは読者にこの問題を解決して見せます。アメリカの映画会社のオーナーである三兄弟がイギリスに滞在中に起こった出来事を短期間の中で見事に愛に結実させていくキャロルの筆力に拍手です。


タグ:ロマンス
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