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大公殿下と忘却の恋人 [マリーン・ラブレース]

SHALOCKMEMO1037
大公殿下と忘却の恋人 Her Unforgettable Royal Lover
Duchess Diaries 7 ) 2014」
マリーン・ラブレース 中野 恵





「伯爵夫人の日記」シリーズの第3弾です。最後はセント・セバスチャン家の長男ドミニクのロマンスです。長女サラに雇われてシャーロットやカルレンブルク家の歴史を調べ,日記を出版しようとしていたナタリー・クラークはドミニクに出会います。そして当時の記録を調べているうちに大公位を認めた文書を発見し,系統からしてドミニクが大公位を持てることを突き止めたのでした。ドミニクはインターポールの潜入捜査官としてハンガリーに在住していたのですが,祖母が住んでいるダコタ・ハウスを訪れ,妹たち(実は実の妹ではなく従姉妹に当たるのですが)やナタリーに出会います。ナタリーの風貌については第2章に詳細にまとめられています。「ナタリー・エリザベス・クラーク。イリノイ州ファーミントン生まれ。年齢29歳。身長168センチ。髪色ブラウン。瞳ブラウン。独身。ミシガン大学で図書館学の学位を取得。専攻は文書の収集と分類。センターヴィル・コミュニティカレッジで3年,イリノイ州庁で4年,それぞれアーカイビスト(文書データ管理係)として勤務。現在ロサンジェルス在住でサラ・セント・セバスチャンに雇われている(一部省略)。」ドミニク自身はマスコミに写真や大公であることがすっぱ抜かれたことで潜入捜査官としての仕事が宙に浮いてしまい,数週間の休暇を取るように上司に言われてしまいました。しかしどこに行っても「大公」と呼ばれ,レストランで食事をしていても何となく周囲のの人たちに見つめられたり声を掛けられたりするようになってしまうことに腹立たしさを感じるのでした。その原因を作ったナタリーに会いに行きますが,いつも眼鏡をかけ,サイズの大きめなトップスと脚を見せないようなパンツをはいているのは,なにか自分を目立たなくするような秘密があるのではとドミニクは職業柄感じるのでした。たまたま眼鏡を外していたナタリーの瞳がブラウンでセクシーな瞳であることに気づいたドミニク。ナタリーのアーカイビストとしての仕事ぶりを直接ミタドミニクは,インターポールにナタリーの調査の参考となり得る部署がパリにあり,その担当者に紹介できると誘います。
ハンガリーに戻ったドミニクはある日警察の訪問を受けます。そして警官が連れてきたのはなんと破れた服を着て瀕死の状態にあるナタリーでした。ナタリーは襲われて記憶をなくし,病院で一言大公とだけ口を開いて気を失ったのでした。身分証明書をもたず手がかりは大公という言葉だけだったため,警察はドミニクがなんらかの手がかりをもっていると思い,ナタリーを連れてきたのでした。それからナタリーとドミニク,そして狩猟犬の奇妙な生活が始まります。休暇中だったドミニクは記憶が回復するまでナタリーの世話を試用と申し出ます。ナタリーが何故ハンガリーの首都ブダペストにいるのか,妹たちに連絡を取ってみますがパリに行ったはずだという情報だけで目的は不明だったのです。ここからはいわゆる記憶喪失ものになります。いろいろの経験をしていくうちに少しずつナタリーの記憶は蘇ってきますが,ドミニクはナタリーの素の顔を見ることができ,やはり彼女は以前自分が目立たないようにワザと扮装していたのではないかという予感が当たっていたことを知ることになるのです。「シャワーで頬をばら色に上気させ,豊かな栗色の髪を解いた彼女はまるで別人だった。」ナタリーはとびきりの美女だったのです。ホテルでの滞在費を負担するというサラの申し出を断り,記憶が戻るまで世話をするとドミニクは決意するのですが,それはナタリーのためというより自分のためという気持ちを表に出すことは出来ないと考えています。ドミニクの知り合いの神経科医の診察でもナタリーがある一部分の記憶だけなくしているという診断でした。記憶喪失の裏にはなにか大きな出来事があり,それが自己防御の役割を果たしているのかもしれないと神経科医は見抜きます。というのは仕事にかかわる記憶は鮮明に残っていたからでした。とにかく手がかりとなるものがないかと,今はなきカルレンブルク城の廃墟を二人で調査することにするのでした。そしてブダペストでの彼女の足取りを追っていた警察から川下りのフェリーに乗ったことと船着き場に彼女が借りたレンタカーが残っていることを知ります。レンタカーには荷物が残っていましたがパスポートは消えていました。ドミニクが潜入捜査官であることを聞き,ナタリーはドミニクをふざけてダブルオーセブンと呼ぶようになります。そして名前の付いていなかったドミニクの犬をデュークと名づけるのでした。記憶が戻るまでのこの二人の接近ぶりは,読んでいても思わず笑みがこぼれるような,つかの間の幸福感に満ちあふれています。そして二人の急接近。訪れたカルレンブルクの小さなホテルで二人は結ばれます。そしてレンタカーにあったパソコンのパスワードが解けたとき,ナタリーの過去も一緒に明らかになってしまうのでした。ナタリーは交際していた同僚に騙され,犯罪にかかわってしまった過去を持っていたのでした。幸い捜査の過程でナタリーの無罪は証明されたのですが,かなり大きな事件であったため自分の身元を雇い主に気付かれないように目立たない服装をしていたのでした。それをドミニクには知られたくなかったとナタリーは思いますが,その時すでにドミニクへの愛がナタリーの中でかなり大きな部分を占めていたのでした。そしてドミニク自身ももうナタリーへの思いを隠すことができないほど彼女を愛していたのでした。最後は例によって伯爵夫人の日記で締めくくられます。続編の可能性のあるジアの名前も登場します。いつも,いくつかの謎を孕んだマリーン・ラブレースの作品。本作でも記憶喪失をうまく生かし,ドラマチックで変化に富んだストーリー展開で読者を呻らせます。オススメの一作。


タグ:ディザイア
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