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期待はずれの花嫁 [ケイトリン・クルーズ]

SHALOCKMEMO1042
期待はずれの花嫁 His for Revenge
( Vows of Convenience 2 ) 2014」
ケイトリン・クルーズ 松本果蓮





「罪色のウエディングドレス(SHALOCKMEMO988)」の続編です。猛暑の中読んだ前作に続き,本作も集中豪雨で甚大な被害を受けつつあった日に読みました。なにかシリーズとの関連があるのかも・・・。それでも,本作のヒロイン,ザラ・エリオットは感情移入しやすい人物造形でした。幼いころから姉と比較され「子豚ちゃん(パッド)」とからかわれていたザラ。父親も彼女を利用するだけ利用してその能力を決して認めようとはしませんでした。そんなザラが政略結婚であるチェイス・ウィテカーとの結婚式当日姿をくらまし,代役としてウエディングドレスに無理やり身を押し込んで神父の前に立ったのがザラでした。当日すでに酔っていたチェイスとともにチェイスの屋敷にやってきたザラ。名ばかりの結婚というだけではなく偽りの花嫁という二重の意味での政略結婚でしたが,二人は初めはなにかと嫌みを言い合います。しかしチェイスは浴槽から立ち上がったザラを見たとき,ザラの姉のアリエラではなくザラと結婚できたことの偶然を喜ぶのでした。そして男性的魅力にあふれたチェイスと結婚できたことをザラもまた幸せに感じるのでした。大学院で研究を続けているザラの頭の良さと優しい人間らしさは,表面的には美貌にあふれたアリエラにはない魅力にあふれていることをチェイスは見て取ったのです。しかしチェイスにはある計画がありました。それは経営こんなに陥ったウィテカー工業株式会社をザラの父親のエイモスの手から取り戻し,経営を軌道に乗せるためにこの政略結婚を利用するというものでした。それをザラに告げるわけには行きません。自分がひどい男だと繰り返し言い続けているチェイスにはもう一つ秘密がありました。前作でも出てきた母や妹と一緒のときに南アフリカで襲われた経験から,自分が何もできなかったという罪悪感を20年間も抱き続けてきたことにより人を愛する感情を押し殺していたのでした。自分が,ザラと話しているうちに次第に人間らしい感情を取り戻しつつあることに気付いたチェイスでしたが年末に迫ったエイモスとの対決は,たとえそれがザラを更に傷つけることになっても止められませんでした。やがて二人は愛し合うようになり,クリスマスまでの数週間で片時も離れることができないほどにまで深い関係になっていました。そしてニューヨークでのエリオット家とウィテカー家の対決。何も知らされなかったザラですが,何となくこれがチェイスとの別れに繋がるような予感はしていました。取締役会議に臨んだザラはチェイスの求めに応じて偽りの結婚について話し,父親と姉から非難されながらも,部屋を飛びだし,身を隠してしまいます。チェイスが取った行動は・・・。
本作が前作のように暗い雰囲気にならないのは,ザラのウィットに富んだ話術やゴシック小説を好み厭世的にならざるを得ない自分を責め続けている姿が読者の心を打つからでしょう。そしてチェイスの罪悪感を救った思いやりのある態度にも。前作のヒロインでチェイスの妹マディーも夫のニコデムスとともに登場し,1年後のクリスマスパーティで亡き父バートからの二人に宛てた手紙が究極の解決編になります。


タグ:ロマンス
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