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高原の魔法 [ベティ・ニールズ]

SHALOCKMEMO1046
高原の魔法 A Kind of Magic
ベティ・ニールズ選集 3) 1991」
ベティ・ニールズ 高木晶子





「氷雨降るハーグ(SHALOCKMEMO989)」「あなたのいる食卓(SHALOCKMEMO1016)」に続く著者選集の第3弾で,ハーレクイン・ロマンスR-1002のイマージュ復刻です。原題は「一種の魔法」。舞台はスコットランド。ウィルトシャー地方の小さな町の法律事務所で速記兼タイピストとして働くロージー・マクドナルドがヒロインです。本名はローズでしょうか,ロザリンでしょうか。なんとなくロザリンが似つかわしいような初心で誇り高く,しかも愛らしい女性です。「長身で女性らしい体つき,カールした焦げ茶色のショートヘア,黒い瞳」の25歳の美女です。スコットランドの観光案内のように自然のすばらしさや地名駅名,そして祖母と乗る「ロイヤル・スコッツマン号」という特別列車の旅行などがどんどん登場し,それだけでも面白く読める作品です。ヒーローはエジンバラの王立病院所属で地方でも尊敬を集めているサーの称号をもつ整形外科医ファーガス・キャメロンです。ハイランドの湖畔にある実家には母親が住んでいますが,普段はエジンバラの一軒家で生活している富豪でもあります。35歳まで未婚で決まった相手と交際した経験もありません。ロージーと祖母が乗った列車が止まっている間に祖母がかつて訪れたホテルでお茶を飲んだ後祖母が庭に出て脚をくじいてしまったことをきっかけに知り合ったロージーとファーガス。初めはファーガスの正体が明かされず地元の医者の代診だと思っていたロージーですが,何度か往診に来てもらい,エジンバラまでロールス・ロイスで祖母と一緒に送ってもらったことで,ただの医者ではないことが感じられました。しかし何でも人に命じてしまうファーガスの言動にちょっと腹を立てわざと冷たい態度をしていたため,二人は表面的にはどちらかというとぎくしゃくした関係にありました。しかし,ちょっとした挨拶のキスを受けたことから,ロージーの心の中にファーガスが大きな存在として定着していきます。ファーガスもまたいつも素直に言うことを聞かない小生意気なロージーが気に掛かってしまいます。こうした二人の間には恋愛感情が沸き起こるのですが,二人とも素直にそれを認めようとはしませんでした。ロージーの父の従兄弟でロージーたちを追い出す結果になってしまった伯父が亡くなり,かつて住んでいたところに戻ることになります。ファーガスの通勤経路の近くにあるところでした。ときどき家にも訪れるファーガスとロージーはハイキングに出かけたりファーガスの実家をたずねたりと交際がスタートするのですが・・・。ある夜ロージーが帰宅途中で荒野で明かりが点滅するのが見え,誰かがサインを送っているかもしれないと見に行くと少年が岩から転落し動けなくなっています。ロージーは車から懐中電灯をもってきて通りかかる車に合図を送ることにします。それからほぼ3時間雨の中で少年に付き添っていたロージーは来るがま近づくのが見えました。犬のジップを連れたファーガスでした。ファーガスの車の携帯電話から救急車が呼ばれエジンバラの病院に運ばれます。ロージーのこの機転を利かせた活躍のおかげで少年の命は助かり,ファーガスはいっそうロージーに惹かれる思いを強くしました。しかし,ファーガスの車に何度か美しい女性が乗っているのを見かけたロージーはファーガスが別の女性と結婚する予定であると思い込み,不機嫌なまま家に閉じこもってしまいます。さて,二人の関係はどうなるのでしょうか。
両親の愛に育まれ,まっすぐで美しい女性に成長したロージー。そしてなかなか決まった相手を見つけられないファーガスを心配するキャメロン夫人も,ロージーのように簡単にファーガスの言いなりにならない女性を好もしく見守っています。周囲の人たちの暖かい目線と,何にでも小言を言わずにはすまないロージーの祖母の存在が適度なリズムとなって,芝居を見ているようなストーリー展開を楽しめる名品です。オススメの一作。


タグ:イマージュ
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