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大富豪の醜聞 [サラ・モーガン]

SHALOCKMEMO1061
大富豪の醜聞 Bought : The Greek's Inocent Virgin
( Greek Tycoons 55 ) 2008」
サラ・モーガン 加納三由季





「イチオシ」マークと「Nice Heroine」マークを付けたサラ・モーガンの「愛に迷えるシンデレラ(SHALOCKMEMO1058)」に関連して作者ページの更新をしているうちに,ヒロインの名前がシャンタルとしてしか分からなかった本作を調べてみようとして読んでみました。結論からすると,どこにもヒロインの姓が記されていませんでした。ただのシャンタルです。それには理由がありました。それはネタバレになってしまいますのでここには記しませんが,本作も傑作だと思います。なによりシンデレラ・ストーリーでありながら,シンデレラを夢見る乙女の物語ではなく,すさまじく自立心の強い,独特な魅力を持ったヒロイン,シャンタルの人物造型によるものです。ギリシア人大富豪であるヒーローのアンゲロス・ゾーヴェレキスについては,普通のヒーロー像,富豪でハンサムで仕事熱心,しかも妻を亡くした後,後妻にだまされて挙げ句の果てに病気になってしまった父を反面教師として女性を信用できなくなってしまった冷静で傲慢な紳士。パーティで出会った二人が,父を挟んで互いに惹かれ合いながらも,階級の違い,そして異性間の違いにもかかわらず互いに相性抜群であることに気付き,互いに意識し合うものの・・・。という発端から,父の望みでシャンタルをギリシアの自分の住まいのある島に連れて行き,父と一緒に過ごしながらプールでの初めの交わり以降,夜を共にするようになり,父もそんな二人の姿を見ながら満足して次第に回復していくという流れになります。ところが日中家を空けるようになるシャンタルを不審に思い探し当てた果てで見つけたのはレストランで働くシャンタルの姿。なぜ働くのかと問うアンゲロスに,「あなたのお金は使わない」と言い切るシャンタル。それまでの女性とは全く違い,自分の財力を頼らない独立心あふれるシャンタルの言葉にどう対応して良いか分からないアンゲロス。やがて父の病気も落ち着き,アテネにどうしてもいかなければならないアンゲロスの必死の頼みでパーティに同行したシャンタルが取った行動は,ブティックでドレスを買わずに,市場で布と裁縫用具を購入し手縫いで数時間でドレスとバッグを仕上げてしまうというものでした。そして,パーティの途中で行方をくらましてしまうシャンタル。二人はどこでどのように再会し,ロマンスの結末を付けるのでしょうか。原題の「買収:ギリシア富豪の無垢なバージン」は,二人の関係を見事に言い表したタイトルです。邦題は,これ以上ないぐらい陳腐ですが・・・。これまでにないヒロイン像にすっかり引き込まれる傑作です。


タグ:ロマンス
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