秘書の華麗なる変身 [ケイト・カーライル]
SHALOCKMEMO1062
「秘書の華麗なる変身 How to Seduce a Biilionaire
( Duke Brothers 3 ) 2011」
ケイト・カーライル 松島なお子
「私はなんて愚かなのかしら。あらゆるルールを無視して恋に落ちてしまうなんて。」
原題は「億万長者の誘惑の仕方」というケイト・カーライルのデューク兄弟シリーズの第3巻です。サリー・デュークに引き取られたデュークの苗字をもつ3兄弟(皆同い年なので誰が兄で誰が弟ということもできないのですが・・・)で残った一人,ブランドンのロマンスです。初めの言葉はヒロイン,ケリー・メレディスが2週間ほどの休暇ののち,それまでの秘書然とした目立たない服装から,すっかり変身してブランドンの元に帰ってきて,しばらくたったのちに反省して述べた言葉です。いわゆる秘書ものですが,それまで優秀な秘書としてだけ扱われてきたケリーが,仕事一筋なキャリア・ウーマンから女性として花開いたことに雇主のブランドンが気付き,二人の仲が急速に接近するものの,ボスと秘書という関係から恋人になることが如何に難しいか,そして二人の関係を後押ししてくれるサリーの存在が如何に重要な役割を果たすかということを描いた作品と言えるでしょう。初めのキスの練習から,ぴったりした身体関係の相性に至るまでがあっという間で,そこを描くのではなくそうなってからのお互いの心の中の葛藤が興味深く描かれています。ヒーロー側の不幸な少年時代とサリーとの出会いまでは前作までで十分語られていましたので,ヒロイン側の不幸な恋愛体験が詳しく描かれ,それがヒーローのブランドンとどう関わっていくかが事件の主な成り行きになります。シリーズの柱となるサリーの亡夫の弟の息子たちも登場してきますが,彼らを描いたシリーズの広がりはどうなのでしょう。期待したいものです。
さてロマンスなのかどうか分かりませんが,作者ケイト・カーライルの主なシリーズは「蔵書道楽家の秘密」シリーズです。まだ,翻訳がでていないようなので,是非とも読んでみたいものです。
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