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愛にむせぶ白鳥 [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO1071
愛にむせぶ白鳥 The Redemption of Darius Sterne
(闇のダリウス,光のザンダー 1) 2015」
キャロル・モーティマー 山本みと





元バレリーナのミランダ・ジェイコブズ,愛称アンディがヒロインです。バレリーナとしての才能が開花し,マーゴ・フォンテーンの再来と目されていましたが,ステージからの落下事故により腰と脚に裂傷と骨折を負い,プリマとしての夢は儚くも消えてしまいます。しかしそこから立ち直り,苦しい数度の手術とリハビリにより,バレエスタジオを立ち上げ,こどもたちの指導をするところまで回復していました。アッシュブロンドの髪と大きなグリーンの瞳,高い頬骨とまっすぐな鼻,先のとがった顎,バレリーナとしての細身の体型だけでなく,どこをとっても魅力的な美貌に恵まれた彼女ですが,脚の傷跡だけは残っており,彼女はそれをずっと気にしながら生きてきました。余り人前に出たがらない,そして美しい脚も傷跡を隠すために隠すような服装をしていました。姉の夫,コリン・フリーマンの勤務する会社の共同経営者ダリウス・スターンとザンダー・スターンは,双子でしたが,風貌は全く対照的であり,闇のダリウス,光のザンダーというのがもっぱらの呼び名でした。しかし,二人とも女性ならば誰でも振り向かずにはいられない男らしい高い身長と広い肩幅という体格に恵まれていました。アンディの誕生日を祝うためと称して,姉夫婦に連れて行かれたのは高級レストラン「ミダス」。スターン兄弟が経営するホテルのレストランであり,ちょうどその日,兄弟の母であるキャサリン・ラティマーの誕生日を祝うパーティが同じ場所で開かれていたのです。二人は遠くに座っていたものの,互いに相手に気付き,視線を交わすことになってしまいます。ザンダーの明るく陽気な感じとは異なりダリウスは周囲を恐れさせるような浅黒い肌と厳つい顔でしたが,アンディはダリウスの方に惹かれます。
その後,何度か二人の出会いがあり,次第に互いの苦しみを話す機会がありました。普段は女性に対してだけでなく誰にも心を開かないダリウスでしたが,アンディに対しては素直に心の中を打ち明けてしまうのでした。アンディの脚の傷に対してもダリウスは嫌悪感を持たず,こどもたちの帰ったあとのバレエスタジオで,またアンディのフラットの居間のソファで,ニアミスを繰り返し,ダリウスの言葉にアンディは次第に昔の自信を取り戻していくのでした。そしてアンディをライヴァル視するティア・ベラミーがアンディの事故の時,ワザと怪我をさせるために押したことを告白し,さらに慈善パーティで踊って欲しいとダリウスの母から頼まれたことを断るように脅迫してきたときも,ダリウスがそれを聞き,アンディを励ましたのです。父が双子とその母に虐待を繰り返していて,酔った勢いで階段から転げ落ちて命を失った過去も,ザンダーと母はダリウスがかかわっていたのではないかと疑いを持っていたのですが,互いにそのことを話し合うことができずに過ごしてきた20年間の葛藤を,アンディはダリウスに勇気を出して話し合うべきだと勧め,家族の信頼を取り戻せるよう促すのでした。この時点ですでに10歳年下のアンディがダリウスのお姉さんのような存在まで自信を取り戻していたのです。明らかに経験豊富なダリウスに対して,アンディは愛の力でダリウスの心の闇を追い払っていく役割を果たしていきます。この二人の関係がすごく素敵で,読んでいて本当に心が温かくなります。そしてアンディもまた勇気を出して自分に怪我をさせたティナを告発し,自分の人生を取り戻していくのでした。
次作では怪我を負ったザンダーがヒーローとなりますが,傷ついたザンダーの心を癒やしていくサマンサ・スミスはどんな女性でしょうか,楽しみです。


タグ:ロマンス
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