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スルタンと愛妾のハーレム [アニー・ウエスト]

SHALOCKMEMO1072
スルタンと愛妾のハーレム The Sultan's Harem Bride
( Desert Vow 1 ) 2015」
アニー・ウエスト 佐倉小春





オーストラリアのジャーナリスト,ジャクリーン(ジャッキー)・フレッチャーは中東での取材中,相棒のカメラマン,イムランを目前でテロの爆発により亡くしてしまいます。その時の状況からPTSDに陥り,ジャーナリストを辞めてしまいました。ジャジャール国のレディ・ラニアの招きにより,王宮のハレムの離れに住み,昔の女性たちの歴史を本にすることを依頼されます。ときのスルタン,アシムは妹サミラがアメリカで恋人ジャクソン・ブレントという俳優と交際して妊娠し,しかもブレントから裏切られて失意のうちに帰国し,パパラッチによって悪意のあるマスコミ攻勢に苦しめられていることから,妹を守るためにマスコミには過敏に反応していました。自らのお后選びの時期でもあり,ジャーナリストであったジャッキーをすぐに追い出そうとします。ジャッキーを招いたのはアシムの祖母の招きであり,むげに追い出すこともできずいくつかの条件を付けて滞在を許可することにします。しかし離れにいては自分の目に届かないということから,王宮の客室で自分の部屋の近くに部屋を移させるのでした。実は離れにいたとき,ジャッキーは悪夢にうなされて叫び声を上げ,それを聞きつけたアシムが部屋に入ってみるとベッドの上で裸身のままジャッキーがうめき声を上げていたのに出くわし,初めは誰だか分からずに,その裸身を見てしまい,守ってやりたいと思ったのでした。部屋を移したのは,そんな思いもあったからです。「サミラがこんなに苦しんだのは,僕が守ってやれなかったからだ。」と悩み続けていたアシム。「本を書くという話しは本当だろうか?それともサミラのスクープ記事を書くための策略だろうか」というジャッキーの話を信じられなかったのです。
アシムは愛を信じられませんでした。「両親の愛憎入り交じった関係が暴力的なものにまで発展したとき,サミラが悪夢に苦しむのを見ていた。」両親の不和がアシムを人を愛することができない男に成長させてしまっていたのです。お后選びも互いに愛し合っての結婚ではなく,便宜的な結婚をするつもりでいたのです。ジャッキーもまた「両親が離婚した日から,自分だけを頼りに生きてきた。10歳だった彼女にとって,両親がどちらも彼女の引き取りを拒否したことは辛い事実だった。両親にはそれぞれ新しい家族ができ,ジャッキーは二の次の存在になったのだ。新しい兄弟たちの無料ベビーシッターとしてしか居場所はなかった。」という少女時代を送る経験をしていました。親の不和により似たような成長期を過ごした二人は,それを打ち明け合うことで気持ちの上でも近づいて行きます。しかし二人が結婚へ至ることはあり得ないことでした。スルタンのプリンセスをめとることになるだろうアシム,愛されることを求めるジャッキー,二人の気持ちのすれ違いとは別に二人の関係は否応なく接近していきます。ジャッキーは「自分がセクシーではないことは分かっている。子供のころの私は御転婆でいつも男の子とスポーツをしていたし」身長は高く,「女性に対する審美眼の鋭さで有名な,スルタン・アシムの用談男性を惹きつけるタイプではない。」と思い込んでいるジャッキー。イブニング・ドレスを着て,「ジャッキー」ではなく「ジャクリーン」らしく見えるかしらとアシムを意識してしまうジャッキーでした。「アシムの目に映る彼女はひとりの女性」「ひどく腹立たしくて挑戦的で,簡単には命令に従わない驚くべき女性」という存在になっていたのです。アシムの戴冠10周年を祝う祝賀行事で,ジャッキーは,以前自分に与えられたイブニング・ドレスをデザインしたのがサミラであることを知り,マスコミから隠れているばかりでなく彼女の特技と才能を前面に出す絶好の機会と考え,マスコミの取材の場にサミラを連れ出します。アシムが報告を受け,企画したのがジャッキーであることを知ると取材を切り上げさせます。そしてジャッキーを非難したのでした。ジャッキーは二人の関係もこれで壊れてしまったと知り,タスマニアに帰国してしまいます。鬱々として過ごしながら,アシムのことが頭から離れないジャッキー。「私はアシムと出会って初めて誰かに心の奥まで立ち入るのを許した。自分が愛と無縁だということは家族に教えられて知っている。だんだんと彼を信じ,尊敬するようになってから拒絶されたせいで,心が粉々に砕かれてしまった」ジャッキー。アシムはこんなジャッキーの元を訪れるのでしょうか。そしてどんな説得をするのでしょうか。
両親の不和により傷つくこどもたちの存在がロマンス小説の一つのパターンになっていますが,それほど愛は難しいことなのでしょうね。それでもそれを乗り越えて愛を獲得していくカップルも同じだけいることを考えると,試練を乗り越えて初めて愛を獲得していくものなのかもしれません。


タグ:ロマンス
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