SSブログ

海運王への実らぬ想い [マリーン・ラブレース]

SHALOCKMEMO1097
海運王への実らぬ想い The Texans's Royal M.D.
Duchess Diaries 4) 2015」
マリーン・ラブレース 中野 恵





 シリーズ第4弾です。とりあえずのシリーズ最終巻ということになるのでしょうか?近年作者の作品は少し数が減っているようですし,今のところ年明け2月に出版が予定されているのは["I Do"... Take Two !]という3部作の第1巻のようです。
 さて,本作ですが,ヒロインは大公の妹アナスタジア(ジア)。休暇を取って南部テキサスで家族とともに滞在しているときに海辺でおぼれかけているひとりの少年を助けます。その叔父がヒーローのマイク・ブレナンでした。数日のうちに意気投合し深い関係になる二人。ジアは家族にも話していない自身の秘密を何故かマイクには打ち明けてしまうのです。それほど会った瞬間からマイクを信頼したとも言えますし,ニューヨークに戻ってしまえばもう会うこともなくなるだろうという気持ちもあったのかもしれません。しかし何度か会ううちにさらに会いたくなってしまう二人でした。何がそんなに二人を結びつけたのか。そしてそんな二人をじっと見つめるのは,例によって大公妃シャーロットです。すでにジアの近親には兄である大公始め,社会的に重要な地位にいる人々,つまり権力と財力を兼ね備えた上流階級の人々がいます。しかもジア自身がアナシタジア・アマリア・ユリアナ・セント・セバスチャンというフルネームを持つプリンセスでもあります。ジアは小児科の研修医の最終年度として病院勤務をしていますが同時に病院付属の研究所での研究もしています。自分が現場の小児科医として進むかあるいは研究所勤めをするかを決めかねていたのですが,マイクは自身がCEOを務める海運会社の補助金をジアの研究に役立てることができるかもしれないと持ちかけ,ニューヨークに戻ったジアは研究助成金を得るための準備に取りかかります。テキサスとニューヨークに別々に暮らす二人が果たしてどんな将来を送ることができるようになるのでしょうか。エピローグを見る限りとてもうまくこの問題を解決したように思えますが・・・。普段は研修医として白衣姿しかしていないジアですが,パーティではさすがにプリンセスとしての格好をし,さらに気品あふれる態度,そしてマイクとのプライベートでは奔放な医者らしい態度をとります。男性からすれば自立し,美しく,賢く,自分への愛を率直に表現できる女性はまさに理想の女性でしょう。どうしたって相手を守りたくなるのは自然な成り行きなのですが,そのことがジアの心の琴線に触れてしまうとは,いかにも作者らしいストーリー展開の妙だと思います。補助金獲得のための活動を援助するはずのアドバイザーが犯罪に手を染めてしまうというサイドストーリーを交えて,物語は進行しますが,本作の最大の山場はなんと言ってもマイクとジアの結婚式に60数年ぶりに故国の山に立つシャーロット大公妃の姿です。切なさともの悲しさそして壮大な歴史を生き抜いた大公妃の姿が目に浮かび,思わず涙ぐむほどの場面です。「サウンド・オブ・ミュージック」の最後の場面が思い浮かびます。あの場面は事実とは異なる映画ならではの場面だそうですが,それでも本作のイメージにぴったりの風景ではないかと思います。一気読み間違いなしの傑作です。


タグ:ディザイア
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

うたかたのシンデレラあの夜は秘密 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。