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野性の女 [エマ・ダーシー]

SHALOCKMEMO1105
野性の女 To Tame a Wild Heart 1992」
エマ・ダーシー 霜月 桂





 半年ぶりのエマ・ダーシーの作品読了です。本作はとにかくスケールが大きく,ワイルドなヒロインを主人公にした作品で,エマ・ダーシー作品の中でもベスト10の上位に入る作品だと思います。
 隣接する牧場の牛が増えすぎて,近隣の牧場も含めて水場の確保が難しくなり,数年にもわたる干ばつが危惧されるオーストラリアのアウトバックが舞台です。大きな飛行場はブリスベン。1つの牧場が1つの町がすっぽり入るぐらいの規模ですから,近隣と言ってもかなりの距離があるのですが,水の確保は川が流れていなければ難しくなり,数年の干ばつですっかり川の水も減ってしまっています。管理すべき会社はブリスベンに支社を持つアメリカの大企業コーデル・エンタープライズ。ニューヨーク本社で会議中のスレイド・コーデル社長の下に赤い服を着たヒロインのレベッカ・ワイルダーが押しかけてきます。そして,何度も訴えをしたにもかかわらずまったく取り合ってもらえなかったと,牧場の窮状を訴えるのでした。「彼女の周りには何者にも屈しない大胆で気性の激しさがオーラとなって燃えている」,会議に退屈していたスレイドは,そんな彼女の闖入を返って喜び,同時に興味を持つのでした。オーストラリア担当重役の弁解は要を得ず,これまで訴えがあったことを社長に報告していなかったのです。詳細を聞いたスレイドはそのままレベッカと共にオーストラリアに渡ります。アメリカを発つ直前に祖母の死を知らされたレベッカ。スレイドはレベッカを手伝って祖母を埋葬し,さらに,もともとアリゾナの牧場で育った経験を元に地元の問題を次々に自ら解決していくのでした。そして1週間の休暇を海岸で過ごす間に二人には深い関係ができあがります。いったんニューヨークに戻らなければならないスレイドとの別れは,おそらく永遠の別れになるだろうと考えたレベッカは敢えて避妊をせずにスレイドと関係を持つのでした。1カ月後,妊娠を知ったレベッカはこの地で四代目になるだろう跡継ぎを得たことを知り喜びます。そしてスレイドのもとにレベッカの隣人からその事実を知らされたスレイドは,予定より一月早くアウトバックに舞い戻るのでした。
 オーストラリアとニューヨーク,二人の生活根拠地は離れており,このまま結婚してもその生活を長続きさせることはできないとレベッカはスレイドのプロポーズを断るのですが,レベッカにはかつて愛したポールという男性がおり,スレイドは彼の存在がレベッカの中ではまだ大きいのだと誤解します。しかしレベッカの中ではすでにスレイド以外の男性は意味を成さなくなっていたのです。数ヶ月はオーストラリアで牧場の面倒を見ながらブリスベン支社から会社の経営をしていたスレイドですが,いつの間にかあまりブリスベンに行かなくなります。そして,ついに雨雲がやってきて,十日間に渡って雨が降り続き,干ばつは一応解消されます。事前に作っておいたダム工事のおかげで水場の心配はかなり解消されました。そして二人で計画し作り上げてきた障害のある子どもたちを自然の中で過ごさせる施設作りの計画も着々と進んでいき,7カ月後,レベッカは陣痛を迎えます。しかし予定していたブリスベンの病院には間に合わない状況でした。ところがスレイドは自分の事務室に出産用の用具を全てそろえており,講習も受けていたのです。スレイドと家政婦のミリーの助けでレベッカは無事女の子を出産します。都会の生活からかけ離れた自然の中での生活は,かくも不便さを覚悟しなければなりませんが,自立心を養い,人生を自らの意志で切り開いて行かざるを得ないという人間らしい生き方をできるのだというメッセージがひしひしと伝わってくる作品です。


タグ:イマージュ
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