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仮面舞踏会の夜の愛して [ルーシー・ゴードン]

SHALOCKMEMO1112
仮面舞踏会の夜に愛して Not Just a Convenient Marriage 2014」
ルーシー・ゴードン 秋庭葉瑠





 作者ルーシー・ゴードンについての巻末の解説に「ヴェネツィアでの休暇中街で出会った地元の男性と結婚。会って2日で婚約し,結婚して30年以上になる。」とあります。本作がまさにその状況とそっくりな作品です。ヴェネツィアの魅力が満載で,特に名高いカーニバルやサン・マルコ祭などのイベントが効果的に作品に取り入れられています。仮面が持つ不思議な魅力やカーニバルの由緒などが簡潔に語られ,現地に住んだ経験がないものにはなかなか文章にできないような記述も多く,しかもそれが単なる観光案内ではなく,ストーリー上必要な部分だというところが素晴らしいと思います。
 さて,会計士で数字に強く驚異的な暗算能力の持ち主,サリー・フランクリンは弟のチャーリーと共に休暇でホテル・ビリオーニに滞在しています。二人の両親は数年前に亡くなり,以来サリーは弟と二人っきりの生活。しかもチャーリーは姉の犠牲の下でもなかなか大人にならずにカジノに出入りしたりして借金をどんどん作ってしまう生活を繰り返しています。サリーはそのつど弟の尻ぬぐいばかりしていますので,なかなか男性との出会いを愉しんだりする余裕はありませんでした。今回も借金に追われた弟とイギリスを脱出してきたという方が当たっているかもしれません。恋人のフランクとは,深い関係になることをサリーが望まなかったため,フランクはさっさと別の女性の元に走ったのです。そんなサリーがホテルの窓際から見たのは「背が高くて髪が黒く,30代半ばと思われるハンサムな顔立ちだが,厳しく,妥協を許さない表情」をした男性でした。それが,ホテルオーナーであり,イタリア各地に地所と複数のホテルを所有する実業家のダミアーノ・フェローネでした。四旬節から復活祭に向かう季節のヴェネツィアは雨が多くヴェネツィアの魅力を十分伝える季節ではないものの,カーニバルが開かれる季節。その不思議な魅力に満ちた地で二人の男女の結びつきはダミアーノの息子のピエートロと子犬との出会いで始まります。そしてピエートロの母でダミアーノの初めの妻ジーナや2番目の妻イメルダの存在を裏に表に感じさせながら物語は進行していきます。すっかりピエートロと子犬に好かれたサリー。初めは同情からスタートしたサリーはダミアーノと便宜的な結婚という点で了解し合い,結婚することにするのです。寝室を別にすればピエートロに気付かれてしまうということから一つのベッドの両端に休むことにする二人ですが,互いを意識しあっていることはわかりきっていました。そして2番目の妻イメルダからの数回にわたる嫌がらせに業を煮やしたサリーは,ついに亡きジーナの命日にある決断をするのです。サン・マルコ祭のパーティに,あえて身分を隠し,仮面をかぶり,遅れて参加したサリーは,ダミアーノを誘惑するのです。ジーナの死に罪悪感を抱いていたダミアーノはサリーを愛していながらも,愛に触れることをひたすら隠し続けてきました。それを理解したサリーが仮面をかぶることでダミアーノの本音を引き出そうとしたのです。この場面が本作のクライマックスです。もし違う相手を選んでしまったら・・・という可能性もあるこの計画が読者のハラハラドキドキも引き出します。実に見事なストーリーテリングで描かれた一気読み間違いなしのイチオシ作品です。


タグ:イマージュ
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