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駆け引きは億万長者と [ジェニファー・ルイス]

SHALOCKMEMO1117
駆け引きは億万長者と A High Stakes Seduction 2014」
ジェニファー・ルイス 秋庭葉瑠





 3カ月ぶりのジェニファー・ルイスです。今回はネイティブ・アメリカン(すっかりこの言葉も日本で定着してきたように思いますが・・・)のカジノに税務調査員として派遣された会計士コンスタンス・アレンがヒロインです。あまり馴染みのないマサチューセッツ州の居留地でホテルやカジノを経営するジョン・フェアウェザーがヒーローとなります。「ネイティブ・アメリカン管理局(BIA)」というのがあるんですね。おもに西部や西海岸にしか居留地がないと思いこんでいましたが,このマサチューセッツに住むニセコット族のネイティブ・アメリカンたちは,かつて最大だった土地が少しずつ政府に奪い去られた歴史に対して,カジノの経営で利益を上げ,その土地を少しずつ買い戻しているのでした。そして他の人々も受け入れ居留地としての人口を取り戻そうとしているのです。その中心にいるのがジョン・フェアウェザーでした。wikiをちょっと調べてみたら,「BIA本部ビル占拠抗議」というコラムがありました。1972年の11月初旬に権利団体「アメリカインディアン運動」が部族の生存権と条約遵守を訴えてワシントンDCの内務省BIA( Bureau of Indian Affairs )本部ビルを占拠した事件ということです。そこには,「1950年代初頭から、アメリカ合衆国政府はインディアン諸部族の解消方針を強め、約10年間で100を超えるインディアン部族が連邦認定を取り消され、「絶滅」したことにされていた。合衆国が1956年に施行した「インディアン移住法」は、保留地から都市部へインディアンを放逐させるものであり、この法によって多くのインディアン部族はその共同体を破壊された。限界集落化されたインディアン部族に対し、合衆国は連邦条約で保証した権利一切を剥奪して、領土である保留地の保留を解消し、これを没収した。1960年代には、多くのインディアンたちが都市部のスラムに追いやられ、路頭に迷っていた。」という記述もありました。初めは居留地においやり,後にここから追い出すことで部族としてのまとまりそのものをなくそうと画策したことがわかります。この歴史に対抗するためにジョンたちは部族としての歴史をまとめ,土地の回復に努めてきたのでした。そこにコンスタンスを派遣したBIAの意図は,なんらかの不正を見つけ,この居留地からニセコット族を追い出そうとする動きであることは間違いありません。
 そんな民族問題を背景にした本作ですが,ロマンス部分は,会ったその瞬間からジョンに惹かれていくコンスタンスの,仕事上の立場と愛に葛藤する姿と,これまで目立たずに静かに過ごしてきた自分の中に,奔放な女性的部分が隠されていることをジョンに見抜かれ,次第にその魅力に逆らえなくなっていく,素直でしかも仕事とプライベートはきっちり分けようとする潔さが描かれています。まさにNice_Heiroineです。そしてジョンの近親者の瑕疵を見つけたときに迷いながらも,それをきちんとBIAに報告するという仕事を成し遂げます。それはジョンとの別れを意味する行動でした。眼鏡をかけ,数字に没頭する冴えない女性という姿で現れるコンスタンスですが,ジョンは彼女の高潔で隠された情熱を持つ女性であることを見抜き,すっかり彼女の虜になります。邦訳版の表紙のモデルさんはちょっと雰囲気には合わないですね。本国Desire版のモデルさんはまさにBestImageです。そして我が娘を心配するコンスタンスの両親がジョンとの関係を非難しながらも実際にジョンに出会って,「娘に敬意と良識を持って結婚してくれること」を認めていく展開も爽やかで,つい頬が緩んでしまいそうになる好著です。


タグ:ディザイア
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