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イタリアン・クリスマス [ヘレン・ブルックス]

SHALOCKMEMO1122
イタリアン・クリスマス Stone Angel 1992」
ヘレン・ブルックス 大島ともこ





 少年たちの乗った車に接触された自転車できたく途中のタニアを助けてくれたのは,名乗りもせずに言ってしまいました。しかし彼のアフターシェブローションの香りにゾクゾクした自分が意外だったのです。翌日アパートに大量の薔薇の花束が贈られてきました。家主のミセス・ジェンキンズからは滞納している家賃だけではなく,男性との関係を邪推する嫌みも言われてしまいます。三ヶ月前,それまでナニーをしていた家族がアメリカに渡ってしまい,数件の家庭との面接を終えたところですがまだ連絡はありません。もし次の就職先がなければ両親の元に帰らざるを得なくなります。両親との関係があまり良くないタニアにとってはそれは最悪のパターンでした。先週出した手紙に来た返事にはちょっと納得できない条件も書かれてありましたが背に腹は替えられず,面接に出かけてみると,雇い主はなんと昨日の男性エンリーコではありませんか。偶然出逢った二人の出会いがロマンスの始まりでした。特に目立って美貌に優れているわけでもなく,また特技をたくさん持っているわけではないもののナニーとしての経験は豊かです。とりあえず子どもたちに会ってみると,双子の男の子の方がタニアにべったりしてきます。女の子の方が自立心が強いようですが優しい子でタニアはすっかり二人と仲良くなります。問題はエンリーコがイタリアにもうひとりのナニーのギルダと双子を連れてイタリアに帰郷するのにタニアにも一緒に行って欲しいというのです。子どもたちはとてもいいしギルダとも家政婦や使用人たちとも仲良くできるのに,なぜかエンリーコとは言い争いをしてしまうタニアでした。決して嫌っているわけではなく,いつも何かとかんに障ることを言ってきたり,誘惑するように触れてきたりするエンリーコにどう接していいかわかりません。自分が惹かれていることもまたしゃくに障るのでした。一方エンリーコの方もタニアをイタリアに同道する必要はないにもかかわらず何故か一緒に連れて行きたい気持ちを抑えることができません。何かと反抗するタニアに惹かれるものを感じているエンリーコでした。エンリーコの秘書のシーリアに会った瞬間,タニアは自分に対する敵意を感じてしまいます。実はシーリアはエンリーコに気があって盛んにアタックするのですが,鼻も引っかけてもらえず,さらにエンリーコがタニアを連れてきたことで脅威を感じていたのでした。エンリーコの亡き妻をも知るシーリアとしては妻亡き後のエンリーコの伴侶として自分がその地位に収まりたいと思っていますが,なかなかうまくいかないのでした。タニアはそんなシーリアの気持ちに気付き,エンリーコとの関係を深めることに躊躇しています。一方エンリーコは妻が亡くなったのは自分の責任だという思いから再婚は考えていないのですが,タニアに惹かれてしまう自分に戸惑っています。なかなか関係を深められない二人にやがて別れの時が来ます。エンリーコの従兄弟のカミーロがエンリーコの留守中タニアにちょっかいを出してきたのです。強く退けようとしていたとき,なんとエンリーコが予定より早く帰宅するのです。現場を見られた二人の説明を聞かないうちにエンリーコはタニアにすぐに出て行けと言い放つのでした。ロンドンに戻ったタニアに家政婦の推薦でハッチン家のナニーの仕事に就くことができました。しかし,これも数週間の間の臨時の仕事。何事も前向きに考えるタニアはとりあえず飢えることはないと,ホッとするのでした。そんなタニアの元をエンリーコが訪れます。さて二人の関係は復活するのでしょうか。
 イタリアでのクリスマスの場面をクライマックスに元気いっぱいのナニーと妻を亡くした男性エンリーコの丁々発止の言い合いも面白く,明るく物事を前向きに考えようとするタニアの愛嬌あふれ,しかも人を信じようとする純粋な心が読者の感動を誘う秀作です。Nice Heroine!


タグ:ロマンス
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