SSブログ

氷の富豪と無垢な王女 [メイシー・イエーツ]

SHALOCKMEMO1130
氷の富豪と無垢な王女 A Royal World Apart
(ロイヤル・アフェア 1) 2012」
メイシー・イエーツ 熊野寧々子





 今月シリーズ第3作目の「放蕩王子と修道女(R-3129)」が刊行されるのを機に,第1作,第2作を読んでおこうと思い,本作を手にしました。年明け最初の読了本で,エーゲ海の島国キョーノスの王子王女たちを主人公にしたロマンスです。長男ザンダー(アレグザンダー)は王位継承権を放り出し島を出てしまいます。次男スタヴロスが王位継承権を持っていますが独身。そして末娘エヴェンジェリーナ(エヴァ)・ドラコスが本作のヒロインです。このシリーズは兄妹の下から順にいくようです。エヴァは王家の末娘らしい我が儘放題でお騒がせなお嬢様。本人はほんの少しの自由が欲しいと思っているだけの気持ちですが,スタイリストが選んだ服を着せられ,城に閉じ込められたような生活,そして何より自分が国の政治や経済的理由で結婚相手すら勝手に決められてしまうという生活に反抗し,何かとマスコミのスキャンダル報道の対象になってしまうような行動を取ってしまうのです。すでに近くの王子との結婚が予定されており,婚約式を間近に控えており,かなり情緒も不安定になっていますが,かといって兄ザンダーのように国を飛びだす勇気も持てないでいます。そんなエヴァのボディガードを引き受けているのは世界有数の有名人の警護をも担当しているセキュリティ会社の経営者,マックハイル(マック)・ナバトフというロシア人でした。長身で体格に恵まれいかにも厳つい風貌のマックに対して,初めは反抗的態度を取っていたエヴァですが,彼女のつぶやきに反応し,少しでもエヴァの気持ちを受け入れようとしてくれる初めてのガードマンでした。しかし外出した彼女を追っかけてタブロイド紙はかなり奔放な行動を取る女性としてあることないことを報道し始めます。業を煮やした父国王は,マックとエヴァを国の外で2週間ほどを過ごすように言いつけるのでした。2週間あれば予定していた婚約が整い,結婚すれば,エヴァをターゲットとした報道も落ち着くだろうと考えたからです。マックはエヴァを連れてスイスの山小屋に逃れていきます。ここはマックの所有する別荘の一つ。事業の成功で富豪となったマックにとっても隠れ家的存在の場所です。そこで,エヴァはマックの生い立ちや心の闇を次々に聞きだし,これまでマックも誰にも打ち明けていなかった秘密をエヴァには話さざるを得なくなります。亡き妻マリーナを結婚早々,交通事故で植物状態にさせてしまい,10年もの間の介護虚しくなくなってしまったのでした。両親の反対を押し切って駆け落ちしたとたんに事故に遭ったことで,マックは生涯消えない心を着ずと罪悪感をマリーナに対して抱いていたのです。そのためその後は独身をとおし,どんなに誘惑されても女性を相手にせずに氷の男という印象を周りに与えてきたのでした。それがエヴァの無垢な質問には嫌々ながらもかなり正直に応えてしまう自分に驚き,マリーナの死後始めて心を開ける女性に出会ったことに気付くのでした。エヴァもマックとマリーナの関係を理想の愛のように気遣い,マックを愛してしまった自分に気付くのでした。父から連絡があり国に戻って婚約が取り交わされた披露パーティで,ついにマックもエヴァも互いに自分の気持ちに嘘を突き通すことはできないことに気付くのでした。
 大人になりきらない王女の心の成長と過去に心の傷を負ったボディガードの自己再生への道のりが細かく描かれたロマンス小説らしい心温まる成長譚です。オススメです。


タグ:ロマンス
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

置き去りの花嫁愛なき王子の婚約者 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。