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愛なき王子の婚約者 [メイシー・イエーツ]

SHALOCKMEMO1131
愛なき王子の婚約者 At His Majesty's Request
(ロイヤル・アフェア 2) 2012」
メイシー・イエーツ 三浦万里





 「氷の富豪と無垢な王女(SHALOCKMEMO1130)」に続くシリーズ第2弾です。前項にも書きましたが,シリーズ第3弾「放蕩王子と修道女(R-3129)」は,2年あまりの間をおいて出版されました。間にいくつもの作品が上梓されていることから作者側になんらかの事情があったものと思われます。
 本作のヒーローは王家の次男で王位継承者のスタヴロス・ドラコスです。前作のヒロインでスタヴロスの妹王女エヴァンジェリーナの結婚式が迫る中,スタヴロスにも王妃をめとらなければならない状況になってきています。自らは王家の仕事の他,ホテル営業のビジネスマンとしての顔もあり,将来の王妃にふさわしい女性を探すため,国際的に有名な結婚仲介業者(マッチメーカー)ジェシカ・カーターにふさわしい相手を見つけて欲しいと依頼するのでした。妹のスキャンダルによる王家のイメージ低下を防ぐためにも,スタヴロスの婚約はかなり必要性の高いことになっていたのです。ところが,ジェシカと会い,話をしてみると,彼女に紹介された6人のお后候補者には,何の魅力も感じなくなってしまったのです。普通は王族,特に王位継承者にはどの女性も笑顔を振りまき,唯々諾々としてその要求を呑むものだという常識を覆し,ジェシカは質問静ライこともずけずけと,さらにはスタヴロスの要求にも逆らうことがたびたびあります。そんなジェシカの率直でしかも魅力あふれる容姿に,スタヴロスは国のためということを重視するあまりこれまで失ってきた,人としての気持ちや自分のしたいことをするという自由な生き方を取り戻していくのでした。ジェシカもまた圧倒的な男性的魅力にあふれたスタヴロスに惹かれ,離婚した夫から得た傷や,子宮摘出による不妊という問題を忘れることができ,再び男性を愛する気持ちを取り戻すことができるようになって行くのです。遂にスタヴロスは6人の候補者の中からヴィクトリアという女性を選択するのですが,婚約発表を先延ばしにして1カ月だけジェシカと愛を交わすことを提案するのでした。
 2週間を過ぎたところで父王からの呼び出しがあり,スタヴロスはヴィクトリアとの婚約を告げますが,本当に愛しているのはジェシカだということも話さざるを得ませんでした。亡き母の事故の後,国の仕事をそっちのけにしてしまった父王のようにはなるまいと10代のころから国一筋にがんばってきたスタヴロスに対して,「愛が人を弱くするのではなく,愛を失ったことで弱くなった」という父王の告白にスタヴロスはハッと気付くのでした。ジェシカを愛することは自分を弱くするのではなく,自分の人間らしさを取り戻してくれたのだということに・・・。王位継承に絡んで,子孫を残せないジェシカとの結婚は難しい,という問題点や,プロのマッチメイカーであるジェシカとの結婚は彼女のこれまでの仕事の実績と信用をも失わせることになる。様々な困難やスキャンダルが予想されますが,もはやスタヴロスはジェシカと離れてくらすことはできない状況になっていたのです。さて,王位継承問題にどのように解決策を?もう一人残された長男ですでに国を出奔しているアレグザンダーが解決策になるのか,このあたりをうまく整理調整するために,第3弾の刊行が遅れたのかもしれませんね。あるいは,マックとエヴァンジェリーナの間に王子が産まれれば,その子が王位継承権を得るということも考えられるのかもしれません。王室問題には常に継承者問題が裏腹にあるのでしょう。過去の苦痛を振り切ってスタヴロスとの愛を追い求めようとするジェシカの勇気に拍手です。


タグ:ロマンス
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