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プリンスの理想の花嫁探し [サンドラ・ハイアット]

SHALOCKMEMO1135
プリンスの理想の花嫁探し Lessons in Seduction
(サンフィリペ公国 3) 2011」
サンドラ・ハイアット さとう史緒





 シリーズ最終巻です。一人残った王位継承者アダムの心を射止めるのは誰? 冒頭から,結果が分かってしまいますが,これもロマンス作品の良さでしょう。安心して読み進められる点です。スリラーやミステリーのような謎解きのドキドキ感はありませんが,二人がどんな風に愛を育んでいくかという点ではドキドキが予想されます。さて,アダムの心を射止めたのは,王室の運転手の娘ダニエル・セトクレアです。愛称ダニ。通常はレーシングカー・レース(モナコ・グランプリのようなものでしょう)をサンフィリペに誘致するための会社で働いていますが,父親の仕事をちょっとお手伝いするアルバイトとして,かつては運転手も務めた経験がありました。王室の車の運転という重要な仕事ですから,もちろん許可証が必要なのですが,ダニはかつての経験でそれももっていたのです。老齢になった父親にかわり臨時にアダムのデートの場所まで送り迎えをすることになったダニ。しかし,アダムがなかなかデートの相手としっくりしていない様子を心配して,昔からの知り合いの立場でちょっと苦言を呈します。それが予想外の結果を生みました。恋愛苦手のアダムが,ダニにアドバイザーになってくれないかと言い出したのです。決して恋愛巧者ではないと一度は断ったものの,普通の女の子がデートに何を求めてくるかという点では助言できるし,デートにスーツを着ていこうとするアダムの堅苦しさに黙っていられず,仕方なくその役を務めることになるのでした。そして,逆にデートがうまくいったと喜ぶアダムを見て,少し胸の痛みを感じるダニでもありました。週末,スキー・デートをするために近くの山にアダムを送っていこうとしたダニ。しかし,雪が激しくなり,デートの相手も来れなくなってしまい,二人も山から下りられなくなってしまいます。偶然見つけて入った小さな宿。そしてその宿の支配人も臨時雇いで困り切っている様子。しかもシェフも病気とあって,なにかと気を遣う宿でしたが,オーストラリア出身らしい言葉遣いの支配人のおおらかな態度と,王位継承者であることを気づかれていないという安心感で,結局二人は2泊することになってしまいます。そして雪がやんだ日,二人は一日中スキーを楽しんで,再び宿を訪れるのでした。この数日で二人の距離はすっかり縮まり,将来はないけれど互いに愛していることを気付くのでした。王子と運転手の娘。この身分の違いが二人の将来の障害になることは二人とも分かっています。宮殿に着くやダニはそそくさと運転手としての顔に戻りますが,アダムの方はなかなかその区切りを付けられないでいます。そして,父王とアダムは究極の話し合いをし・・・。やがて第1作で恋に落ちたレベッカとローガンのロイヤルウエディングの日がやってきます。すでにラスベガスで結婚したレイフとレクシーもまた愛らしいベビーとともに幸せな様子。父のアンリ・オーガスタス・マルコーニ大公の思惑どおり,あっという間に二人の王子と王女が愛する人を見つけゴールインしたサンフィリペ公国のめでたしめでたしで幕を閉じます。2011年50歳を迎えないまま急逝したサンドラ・ハイアットの新作は読めませんが,ロマンスの王道を行く彼女の作品の安定感は抜群だと思います。


タグ:ディザイア
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