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赤い髪の秘密 [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO1142
赤い髪の秘密 Fated Attraction
( Quinlan 1 ) 1991」
キャロル・モーティマー 中原もえ





 富豪の令嬢リア=ジェーンは,21歳の誕生日までにきちんとした仕事に就いていれば父の遺産を受けることができることになっており,ロンドンのあちこちの企業に面接を申し込みますが,どの企業も名前を聞くと「どうして就職?」と首をかしげられ,丁寧に断られるだけでした。大きな荷物を抱え,家を飛びだしてホテル住まいをしているリア=ジェーンがロンドンの裏通りを歩いているときに危うく車に轢かれそうになり,水しぶきでバランスを崩し,踝を捻って溝に倒れ込んでしまった彼女を,ドライバーの男性が病院に無理やり運んでいきます。この男性こそ,運命の相手ラファティ(ラーフ)・クィンランでした。病院に着く前に失神してしまったリアの身元引受人になったラーフは,すっかり信じはしなかったものの,ジェーン・スミスとなのったリアを自宅に連れて行き,家政婦のミセス・ハワードとともに面倒を見ることになります。何かにつけて秘密めいたリアを初めて見た瞬間ミセス・ハワードは驚きの声を上げます。かつてクィンラン家でラーフの乳母をしていた女性にリアがそっくりだったからです。トランクに入っていた高級なドレス類を見たラーフはリアが金持ちの男性を食い物にするその道の女性だと勘違いし,蔑むような目でリアを見るのでした。そして秘書として雇おうと言うのでした。その時すでにラーフはリアに対してなにか運命的な出会いを予感していたのです。リアもまた何かにつけて自分を見下そうとするラーフに腹を立てながらも,真面目に仕事をしている姿や両親を亡くして立派に領地を守ろうとする姿に惹かれていくのでした。
あるとき,突然ラーフの叔母夫婦が屋敷を訪ねてきます。叔母のアニタ・バーンズはやはりリアを見て,誰かに似ていると不思議に思います。そしてリアの驚愕の時が訪れます。アニタの最愛の息子が,リアの知り合いのロバート・バーンスタブルだったからです。一目でリアの正体を見破ったロバートですが,自分のことをラーフに知らせないで欲しいという必死のリアの頼みで,その場は何とかしのいだのですが。ロンドンに戻ったロバートはついにリアの兄ジョーダンに問い詰められて,リアの居場所を話してしまったのです。家にかかってきた電話でリアはそのことを知り,翌日説明のためにロンドンに向かわざるを得ませんでした。そしてラーフが計画している領地のリゾート化計画を成功させるためにジョーダンにプランを話して事業に興味を持たせることになってしまいます。さっそくジョーダンがラーフに連絡し,リアがサマヴィル=スマイズ家の娘であることを明かされてしまいます。ラーフを騙していたこととリアを信用して事業計画を打ち明けたのにジョーダンにそれを話してしまったことでラーフは怒り心頭,さっそくリアに出ていくように告げるのでした。そしてジョーダンの支援を断る連絡を入れてきたのです。何とか説得しようと領地を訪れたリアとジョーダン。ラーフは数日しか離れていないのにリアのことばかり頭に浮かび,ついにリアに結婚を申し込みます。リアもまた同じ気持ちであったことを告白し,承諾の返事をするのでした。この話を聞きつけたロバートは叔母アニタのところにリアを伴ってパーティに参加することになっていましたが,このパーティにラーフとジョーダンも参加することになり,そこでアニタから衝撃の過去を知らされることになります。逆にラーフとジョーダンは親密さを増し領地のリゾート化計画に協力して当たることになります。
いつもながらのモーティマーのストーリーテリングのうまさが光り,1991年刊という時代の古さを感じさせないモダンな作品です。姉妹編の「偽りの訪問者」はジョーダンがヒーローとなりますが電子書籍化されていないようなので,いずれ読んでみたいと思います。


タグ:ロマンス
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