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異端のギリシア大富豪 [レベッカ・ウィンターズ]

SHALOCKMEMO1159
異端のギリシア大富豪 The Renegade Billionaire 2015」
レベッカ・ウィンターズ 堺谷ますみ





 原題からしてちょっとエキセントリックなヒーローなのかなと思っていましたが,読了してみてエキセントリックなのはヒロインの方だという感じがしました。完全なファーザーコンプレックスなヒロイン,アンドレア・リンフォード,26歳。デンヴァーで生まれ鉱山技師である父に連れられて世界中あちらこちらで成長期を過ごし,母国語である米語の他にギリシア語,イタリア語,フランス語,ヒンディ語(インド語),アフリカーンス語(低地ドイツ語),スワヒリ語(東アフリカ語),スペイン語,グアラニ語(南米先住民語)の片言などを話し,事務能力も企画力もさらには女性らしいスタイルを兼ね備えたスーパーレディです。自分の誕生と同時に母を亡くしたアンドレアは父と二人で世界のあちらこちらで生活し,これらの才能を身に付け,大学教育はアリストテレス大学で学位を納め,現在はギリシアでパンヘレニック・ツアーズという旅行会社に勤めています。率直な性格,そして鉱山などの男性主体の場所で育ったので,アウトドアでの生活や男性とも物怖じせずに話すことができるなど,いわゆる男勝りではあるものの,女性らしい優しさを兼ね備え,さらに緊急時の対処の仕方も頭で考えるよりも先に行動ができるという特質も持っています。一方ヒーローのスタヴロス・コンスタンティノスは,「コンスタンティノス・マーブル・コーポレーション」という大理石加工業の会社のCEOですが,父や一族の親戚との折り合いが悪く,いわゆる異端児とも言える性格。しかしマケドニア人らしい男性的な魅力にあふれた32歳の実直な青年です。二人の出会いはスタヴロスの会社の保有する鉱山を見学に来たアメリカ人の大学生が行方不明になり,ツアーを企画したアンドレアとCEOだったスタヴロスが二人で大学生の捜索に出るというところから始まります。実はこの時すでにスタヴロスは自分の会社を立ち上げるために父の会社のCEOを辞任する旨を会社の役員会に告げており,立場的にはCEOではなくなっているのですが,実質的なCEOの座を次に引き継いでおらず,ちょっと微妙な地位にいました。それでも,ツアーの企画が出たときに,役員会の反対を押し切って承認したという経緯もあり責任を感じたのでした。そしてこの出会いが二人を完全に結びつけるのでした。洞窟の中で二人で互いの過去を話し合い,アンドレアのこれまでの生活や,才能,そしてスタヴロスと両親の間に距離があることなどを確認し合った二人。互いに惹かれるものを感じながらも出会ったその日にそれを告白し合うこともできず,翌日フェリーの車の中に隠れていた大学生を見つけるまで二人は行動を共にしながら,磁石の両極のように惹きつけ合ってしまったのです。父の仕事の関係であと数ヶ月でブラジルに渡ることになっているアンドレアは,スタヴロスに惹かれる気持ちを抑えようとします。そしてアンドレアには最近恋人を登山事故で亡くすという経験をしており,その悲しみも癒えないうちに他の男性に惹かれてしまうことに対する罪悪感も若干ありました。そのことは次の週末スタヴロスに誘われてタソス島のヴィラで過ごすうちに正直に打ち明けたのですが,スタヴロスの方も両親が勧めるティナという女性の存在があり,そのこともアンドレアに気を遣わせることになって行くのです。そしてなにより二人で過ごせる時間は,父の仕事に都合で10日後にはブラジルに渡るという突然の予定変更で決定的になるのでした。二人でボートで島に渡りピクニックをしている最中,スタヴロスがアカエイに刺されるという事故が起こります。悪くすると命の危険や麻痺が起こるかもしれないという状況の中,アンドレアはスタヴロスをボートに引き上げ,クルーズし,同時に本土の救急病院に連絡して桟橋に救急車を手配するという早業を成し遂げ,スタヴロスの治療の段取りをあっという間にしてしまいます。この臨機応変な対応にいたく感動したスタヴロスは,アンドレアの才能に舌を巻き,ますます惹かれる思いを強くするのでした。しかし翌日退院してヴィラに戻った二人を待ち受けていたのは情報を聞きつけたティナでした。そしてティナはアンドレアを敬遠するために自分がスタヴロスの子供を妊娠していると嘘をつきます。身体接触をした覚えがないスタヴロスはこれが嘘だと見抜きますが,それをアンドレアに信じてもらえるか,そしてそんなティナの行動を双方の両親が陰で糸を引いていることをアンドレアが理解してくれるか心配するのでした。しかしアンドレアはアッサリとスタヴロスの怪我が治るまで会社に休みの連絡を付けて看病することを約束するのでした。さらにティナの父が弁護士をとおして婚約不履行でスタヴロスとアンドレアを訴えると通告してきたのです。反対尋問の資料を作るためにスタヴロスの顧問弁護士はアンドレアに二人の関係をほのめかす不快な質問をせざるをえなくなります。自分の周囲のもののせいでアンドレアを傷つけてしまったスタヴロスは申し訳なく思うのですが,アンドレアは逆にスタヴロスに心配をかけまいと淡々とこの質問に答えるのでした。しかし二人に残された時間はあと僅かです。その問題が解決しないうちは互いに決定的な関係にならないように振る舞っている二人がとても歯がゆく,不憫な,しかし尊敬できる態度だなと感心します。男性優位主義の国ギリシアでこれほど女性に対して紳士的に振る舞えるスタヴロスの愛情の深さがとても心地よい感じがします。
 ヒロイン,アンドレアもスーパーレディですが,ヒーローのスタヴロスも独立心をもち,深い愛情を大切な人に注ぐことのできるとても男らしい好人物です。これだけ対等な二人が登場するロマンスもちょっと貴重なのかもしれません。一気読み間違いなしのイチオシのドラマチック・ロマンスです。


タグ:イマージュ
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