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パリ,背徳の一夜 [ダニー・コリンズ]

SHALOCKMEMO1165
パリ,背徳の一夜 Seduced into the Greek's World 2015」
ダニー・コリンズ 吉村エナ





 ダニー・コリンズの作品はまだ未訳のものが多いですが(本作で4作目でしょうか),これまで訳出されたものは他の作家とのシリーズものが多かったため,独自の作品の訳出は,本作が初めてのようです。しかも本作に登場するヒーロー,デミトリ・マクリコスタの兄姉たちを主人公とした姉妹編もすでに出版されているようで,今後それらの訳出が楽しみです。
さて,本作のヒロインはITスペシャリスト,内容からするとどうもシステムエンジニアっぽい気がしますが・・・,シングルマザーとして5歳の娘ゾーイを育てているナタリー・アダムズというカナダ人女性です。ナタリーの元夫でゾーイの父親ヒースは,結構意気地なしの男性で,結婚生活に向かない無責任男のようですが,その母のクローデットは母性愛にあふれた優しい女性で,いつもゾーイの面倒を見てくれています。自身の両親と弟を亡くしているナタリーにとって実母と同じぐらい頼りになる義母です。さて,カナダのモントリオールにある「マクリコスタ・エリート」から派遣されて,今回はヨーロッパのマクリコスタ・ホテルのIT関連のチェックや講演をして回っているナタリーが,パリで出会ったのが,マクリコスタ兄弟の末の息子デミトリでした。ところで,このパリのホテルのオーナーはデミトリの姉アダラの夫ギデオンですが,デミトリはギデオンとナタリーがフロアで親しげに話をしているのを見て,ナタリーがギデオンを誘惑していると勘違いしてしまいます。どうしてそんな思いに至ったのかを本作で詳しく知ることはできませんが,以前そんなことがあったようだということは仄めかされています。それはきっと別の作品で書かれているのでしょう。([More than a Convenient Marriage? 2013]に登場?)その誤解は姉アダラの説明で解けるのですが,失礼な態度を取ってしまったデミトリとギデオンの間にはなにかわだかまりが残ってしまいます。さて,この件をきっかけにデミトリは「短いブロンドの髪」のナタリーに久しぶりに女性への興味が強く沸くのを感じ声を掛けるのでした。ここでナタリーも小麦色の肌のギリシア生まれのデミトリに元夫以外の男性としては初めての強烈な魅力を感じ,故郷を離れている非日常の中にいるという想いも手伝って,あっという間に二人の関係は深まっていくのです。デミトリほどの男ならきっとモデル美女たちが引きも切らず寄ってくるだろうということはわかっていても,そしてそれらの美女たちに子持ちのバツイチの自分が勝てるはずのないこともわかっていても,デミトリからの誘いに乗ってしまう自分にあきれながらも,その想いを止めることができないのでした。互いの生い立ちや,過去の傷を明かし合った二人は離れがたくなっていきます。そして姉アダラの誕生パーティにナタリーを伴うことにしたデミトリ。ナタリーもデミトリと兄弟家族のあいだにあるわだかまりを聞いていたことから,知らない人たちばかりのこのパーティに参加することにしぶしぶながら同意します。このパーティにはデミトリの異父兄のニックとその妻ローワン([No Longer Forbidden? 2013]に登場?),そして兄のテオとその妻ジャヤ([An Heir to Bind Them 2014]に登場?)も出席しています。ナタリーの励ましもありなんとか家族との和解に成功したデミトリは,テオやニックの励ましで,ナタリーとの仲を真剣に考えはじめます。しかし,子持ちバツイチのナタリーにとって,娘ゾーイがなにより最優先。デミトリとの中もゾーイのことを中心に考えなくてはなりません。さて,子供への関心などなさそうなデミトリがゾーイにどう接していくのでしょうか。終盤でゾーイが発する台詞がとても気が利いています。この素敵な一言が読む者をきっと笑顔にしてくれます。


タグ:ロマンス
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