SSブログ

気高き愛人 [ジャクリーン・バード]

SHALOCKMEMO1186
気高き愛人 Uantamed Italian, Blackmailed Innocent 2010」
ジャクリーン・バード 早川麻百合





 原題は「自由なイタリア人,ゆすられた純情娘」
 舞台:ロンドン
 ヒロイン:サルマキス(サリー)・パクストン(26歳)/大英博物館研究員/ブルーの瞳,清楚な顔立ち,小ぶりの鼻,ふっくらした唇,ルビーのような長い赤毛/ナイジェル・パクストンの娘
 ヒーロー:ザック・デルッカ(35歳)/実業家,「デルッカ・ホールディングス(鉱業・製造業・不動産業・オリーブオイル等国際的複合企業)」経営,「ウエストウォルド・コンポーネンツ」買収/黒い髪,黒い瞳,195センチ,ローマの養護施設出身,元格闘技選手/冷酷で尊大で血も涙もない男との噂あり/元恋人ミラノのモデル,リサ
 目的を持って父のオフィスを訪れたサリー。そこで父に母の病院に見舞いに行くよう説得するつもりでした。浮気をしたあげく母が入院していても仕事だといって見舞いにも行かない父。それでもサリーの母は父をかばうのでした。それがさらにサリーの怒りに油を注いでいたのです。今日こそは,という思いのサリーは父の元を訪れたザックは目に入っていませんでした。一方,買収した会社で横領が行われていたことを調査するため,会社の財務部長ナイジェル・パクストンを訪れたザックは,受付で自分を見もしない美女に目をとめます。普通女性は誰しも自分を振り返るものだという思いがあったザックは一度も自分を見もしない女性に出会ったのは初めてでした。そしてナイジェルのオフィスで二人は顔を合わせます。サリーの自宅はボーンマス。父はすっかりロンドンのフラットで愛人と暮らしており,サリーを懐柔するために父は元自分がいたフラットをサリーに住まわせ,自分は別のアパートに住んでいたのです。父の会社では武器の部品を作っており,そんな会社に勤め,愛人を囲い,母の病気を一顧だにしない父にサリーは軽蔑の念を抱いていたのです。サリーをナイジェルの愛人と勘違いしたザックでしたが,娘だと知ってサリーを夕食に誘います。ザックに横領のことを見抜かれてはいないかびくびくもののナイジェルは,まるで娘を差し出すかのようにザックの機嫌を取るようにとサリーに頼むのでした。サリーは忙しいと誘いを断るのですがザックは諦めません。どうせ裕福なお嬢様で我が儘な娘だろうと思い込んだザックは週末も忙しいというサリーの返事を曲解します。週末は母のいるデヴォン州の施設で母と過ごすことに決めているサリーには,ザックの誘いに乗る時間はないのでした。何度も誘いをかけるザックを,サリーは父と同じ女性蔑視の男と思い込み,二人の溝は次第に広がっていきます。しかし互いに何か惹かれるものを感じ,気持ちと言動とはますます広がっていくのでした。このすれ違いが本作の大きなプロットになって行きます。サリーは敢えて,自分が大英博物館に勤めていることを知らせません。どうせ一度食事をするだけの関係で終わるだろうと思い,わざわざ知らせる必要がないと思ったのです。さらに母が療養していることも黙っています。女性に断られたことのないザックにしてみれば,サリーが忙しいと口実にして逆に自分を誘っているのだと勘違いしてしまいます。サリーの本名はサルマキス。ザックと食事をしているとき声を掛けてきた小学校時代からの友人アルジャーノン(アル)に声を掛けられ,サリーはザックの誘惑を断るきっかけにアルを利用しようと考えます。アルも,ザックが冷酷で女性を誘惑しては捨てるというマスコミの情報を元に,これに協力するのですが・・・。ザックとの食事で,少しずつ打ち解けてきたサリーは「ザックの野性的な魅力に引き寄せられ,まるで明るい炎に吸い寄せられる蛾のように」ザックに惹かれている自分の反応に驚き,でも将来はないと,その気持ちを打ち消そうとします。ザックの誘いに積極的な姿勢と,冷たい態度と二重の反応を示すサリーにザックもこれまでの女性とは違う魅力を感じてしまうのでした。父の横領がはっきりし,それを脅しの材料として,サリーに愛人契約を申し出るザック。しかし何日か過ごすうちに,サリーが単なるゴージャスなワガママお嬢さんではなく,きちんとした学位をもつ大英博物館研究員という肩書きを持っていることや,母が入院していて週末はそこで過ごさなければならないということを少しずつ突き止め,やがてサリーに対して尊敬の念と愛を感じるようになって行くのでした。サリーもまた,冷酷だと思っていたザックが自分に対して接する態度が次第に自分のことを考えてくれていることや,男性的魅力に引き寄せられる自分の気持ちを偽ることができないと思い,ついにはザックを愛してしまったことに気付くのでした。しかし二人の間には父ナイジェル告発という問題を挟んだ愛人契約があり,それが互いの愛を告白し合う妨げになって行きます。そしてサリーの妊娠・・・。二人はこれをどう乗り越えていくのでしょうか。
 邦題の「気高き愛人」は蓋し名訳だと思います。すれ違いもの,勘違いものは,結構好きですが,ストーリーの面白さとヒーロー,ヒロインの設定にも作者の筆力が問われるジャンルだと思います。そんな意味では本作は成功例と言えるのではないでしょうか。オススメです。


タグ:ロマンス
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

シークの罠シンデレラは似合わない ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。