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シンデレラの過去 [キャシー・ウィリアムズ]

SHALOCKMEMO1196
シンデレラの過去 The Secret Sinclair 2012」
キャシー・ウィリアムズ 茅野久枝





 原題は「秘密のシンクレア」
 ヒロイン:サラ・スコット/清掃員/シングル・マザー(息子:オリヴァー)/金髪で,緑色の大きな目
 ヒーロー:ラウル・シンクレア/実業家/オリヴァーの父親/つややかな金色の肌,肩まで伸びた豊かな黒い髪,引き締まった筋肉質の体
 アフリカのモザンビークでボランティアとして働くサラとラウル。二人は互いの愛を確かめ合っていたが,やがて任期が終わり,彼は連絡先も告げずに去ってしまう。故国に戻ったサラはラウルの子を身ごもっていることに気付く。しかし,連絡先も分からずサラは大学も1学期だけ通ったところで出産のために退学してしまう。やがて生まれた愛息オリヴァー。サラはオリヴァーのために清掃員の仕事をしながらなんとかロンドンでの生活を成り立たせている。ある夜,いつものように清掃作業を始めようとしたところ,まだ人の話し声がし,急いで清掃用具の陰に隠れようとしたところを秘書に見つかってしまう。そして,秘書の後ろにいた人物に気付いたとき,サラは驚愕を隠せなかった。なんとそこにはラウルが新しい会社の経営者としていたのだった。
 別れから5年が経過して,4歳の息子オリヴァーと夜間の清掃中にオリヴァーを預かってくれる親友しか知り合いのいないロンドンで暮らすサラの,懸命な生活ぶりが描かれます。そして,それを見たラウルの心ない言葉に傷つくサラでした。勇気を出してオリヴァーの存在を告げるサラですが,ラウルにオリヴァーを取られてしまうのではないかという怖れと,予定どおり自分の人生を送ることができなくなったサラとの間に,愛情は復活するのでしょうか。突然自分には息子がいると告げられたラウルの驚きと戸惑いも容易に想像がつきますが,シングルマザーとしての生活が如何に大変かということに思い至らず,初めはみじめな生活を送るサラをそのままにはしておけなくなったラウル。しかしサラのプライドを傷つけないように気遣いながらも次々にサラとオリヴァーの生活に入り込んでいくラウルの決断力と行動力に押されてしまうサラなのでした。「ラウルは傲慢で自分勝手だ。そんないやな男に惹かれていたわたしはなんて愚かだったのだろう」と考え,しかしなんとかオリヴァーのためにラウルが父親であることを告げ,オリヴァーが成長するまで,ラウルとの仮の夫婦としての生活を維持していこうと決意するサラですが,なんといっても惹かれているラウルとの生活に母親としての自分と妻としての自分に折り合いを付けることが難しくなります。一方,これまで付き合ってきた女性たちはラウルの経済力にだけ注目し,内面にまで踏み込もうとする女性はいませんでした。しかしサラは「ラウルに対して遠慮をせず,彼に媚びようともしなかった。ラウルが過去にデートをした女性は全員が彼の家を見たとたん,その贅沢な作りに卒倒しそうになった。ところが(サラは)彼の住んでいる場所のどこが嫌いかを一冊の本にまとめて彼に送ってくれそうだった」と,遠慮なくラウルの生活に反逆していくのです。これまで付き合ってきた女性との違いに気付いたとき,サラに対する愛情に芽ばえるラウル。さぁ二人はどんな折り合いを付けて親子三人の生活を作り上げていくのでしょうか。サラが勝つか,ラウルが勝つか。虚々実々の二人の関係がとても面白く読者に迫ってくる迫力の作品です。最後のサラの心の声「おとぎ話が嘘だなんて,誰が決めたの?」が決めの一言で見事です。


タグ:ロマンス
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