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ベッドとオフィスで違う恋 [キャシー・ウィリアムズ]

SHALOCKMEMO1198
ベッドとオフィスで違う恋 Powerful Boss, Prim Miss Jones 2010」
キャシー・ウィリアムズ 柿原日出子





 原題は「傲慢なボスと潔癖なミス・ジョーンズ」
 ヒロイン:エリザベス・ジョーンス/元弁護士事務所リッグズ・アンド・サンの秘書,ジェームズ・グレーストーンの実の娘/女性らしい豊かな体躯,緑色の瞳,長い髪
 ヒーロー:アンドリアス/実業家(出版社,ビジネス・ホテルチェーン,マスコミ関連会社3社,大手コンピュータ会社のオーナー,製薬会社の買収中)/父がジェームズ・グレーストーンの運転手として雇われて以来名づけ子となる/褐色の肌と黒い瞳,黒い髪
 シングルマザーの母をガンで亡くしたエリザベスは,残された母の手紙を元に,実の父親ジェームズ・グレーストーンに愛にやってきます。壮麗な屋敷に住むジェームズでしたが,最近は事業から手を引き,サマセットの屋敷で車椅子生活での隠遁生活を送っていました。自分が名告る前に,丁度ジェームズの身の回りの世話をする人を募集していたジェームズはその仕事をアンドリアスに託していたのですが,屋敷の家政婦がやってきたエリザベスを応募してきた世話係だと勘違いしてアンドリアスに取り次いだことがきっかけで,用件を話す前にジェームズから気に入られ,世話係として働くことになってしまいます。実の娘だと名告ることが病気のジェームズにショックを与えてはいけないと,事実を話さないまま屋敷で暮らすことになってしまいます。この当たりの設定は実にタイミング良く,思わず読者の微笑を誘ってしまううまいからくりです。さて,これまで愛を信じず,女性は自分の魅力に必ず従うはずだと思い込んでいるアンドリアスですが,なにかと口答えするエリザベスに興味を持ってしまうのでした。そして,これまで付き合ってきたセレブでゴージャスなモデル体形とは異なるエリザベスに何故か惹かれてしまう自分に戸惑ってしまいます。しかし強引にエリザベスに迫って,必ずイエスと言わせてみせると意気込むアンドリアス。ジェームズが昼寝をする午後は自分の秘書を務めなさいと段取りを決めてしまい,屋敷に仕事を持ち込んで矢継ぎ早の指示を繰り出すのでした。しかし,何か隠している様子を敏感に感じ取ったアンドリアスはエリザベスを信用せずにジェームズに取り入って金目当てにやってきた女性と思い込んでいます。エリザベスもまたアンドリアスを「冷淡で,人を見下し,ひどくぶしつけだけれど,それでも人を惹きつける何か」に魅了され,遂にアンドリアスの誘いに自分から乗ってしまうのでした。秘書としての仕事と夜のベッドでの甘いひととき,二つの顔をもたなければならなくなったエリザベスの八面六臂の活躍が次々と語られていきます。そして,アンドリアスが最近まで付き合っていて,飽きて捨ててしまった元恋人のアマンダ・フェローズが突然屋敷にやってきたとき,エリザベスがタンスにしまい込んでいた母の手紙を見つけてしまい,エリザベスがジェームズの娘であることが発覚してしまうのでした。
 アンドリアスの苗字が紹介されていません。ジェームズの養子になったわけではないし,父の名前も書かれていないので,推測できませんが,こんな作品も珍しいですね。さて秘密が明かされたエリザベスは,どうなるのでしょう。ジェームズはかつて愛した女性との間の子供がエリザベスであることを知って大喜びです。一方アンドリアスの方は,やはりエリザベスが金目当てでやってきたと思い込もうとして,ジェームズの財産は自分が管理しているので勝手にはさせないぞと脅し,ロンドンに帰ってしまいます。母を失った後に,父と出会うことができたエリザベスにとっては,田舎の屋敷での父との生活こそ,幸せな生活でした。しかしジェームズはエリザベスにふさわしい男性を紹介するぞと意気込んで,盛大なパーティを開くのでした。当初パーティに行くつもりのなかったアンドリアスですが,エリザベスとの充実した日々が忘れられず,屋敷にやってきます。そしてエリザベスに話しかける男たちを追い払うように存在感をむき出しにするのでした。やがて,エリザベスは地元の学校の教師トムとデートするようになるのですが,アンドリアスとどうしても比べものにならないトムとは心が浮き立つことはありませんでした。父もまたトムとの交際に賛同せず,「お前は大きな間違いをしている」という始末。しかしそんな父の言葉を自分を気遣ってくれているのだと思いエリザベスは父との関係に幸福感を感じます。「アンドリアスと正反対の人がいい。なぜなら,いつも正気でいられるから。」というのがこの時のエリザベスの気持ちでした。二人の様子を見てきて欲しいとジェームズに頼まれたアンドリアスが,二人がランチを取っているレストランに赴きます。かつて,ロンドンに一緒に行って自分の愛人になるよう命じた傲慢なアンドリアスが,不安げに話があると口ごもる様をみて,エリザベスはジェームズに何かあったのでは?と心配になります。そうではないといいつつ,アンドリアスと車に乗り込んだエリザベスにアンドリアスが告白した愛の言葉とは・・・。
 邦題がちょっと気に掛かって,いつか読んでみたいと思っていた本作ですが,とびきりの美女ではないエリザベス(リジーとかベスとかと愛称で呼ばれることはなく,エリザベスでとおしているところがちょっとかわっていますね・・・。)が欲望に振り回されずに,きちんとアンドリアスと正面切って向き合う姿がとてもりりしく,結末もドロドロにならずにとても洒落ていて素敵な作品です。重箱の隅の老人の独り言。一個所気になるところがありました。中盤第5章(KINDLE位置ナンバー1239)「鍵盤を整える調律師のように」と訳されていますが,調律するのは弦で鍵盤ではないと思うのですが・・・。原文はどうなっているのかな?


タグ:ロマンス
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