燃えるアテネ [ルーシー・モンロー]
SHALOCKMEMO1200
「燃えるアテネ The Greek's Pregnant Lover
( 情熱を知った日 2 ) 2010」
ルーシー・モンロー 深山 咲
原題は「ギリシア人の身ごもった恋人」
ヒロイン:パイパー・マディソン(?歳)/インテリア・デザイナー,「セルリアン・デザイインズ」経営/バツイチ/ブロンドの髪,緑がかった淡いブルーの瞳
ヒーロー:ゼフィール・ニコス(35歳)/「スタモス・アンド・ニコス・エンタープライズ」共同経営者/身長190センチ
「今だけはこのままで(SHALOCKMEMO1190)」の姉妹編です。ギリシアの養護施設で知り合い,その後ストリート・チルドレンを経験して船の仕事に就き,アメリカに渡って大成功を収めた少年たち,ネオ・スタモスとゼフィール・ニコスの二人。ネオは前作でピアニストのキャスと出会い恋に落ちます。本作ではネオとキャスの出会いに一役買ったゼフィールがパイパーとの恋を実らせられるかというところを描いています。ヒロイン,パイパーは有能なインテリア・デザイナー。かつて働いていた大手デザイン事務所で前夫と知り合いますが,結婚生活で裏切られ,さらに腹いせに才能まで貶められて男性不信になっています。ゼフィールとの間には仕事上の友情のような気持ちを感じていますが,男らしく,自分をいつも信じてくれるゼフィールに強く惹かれる気持ちもあります。ギリシアの島のリゾート開発の仕事を請け負い,二人で現地に行ったとき,ゼフィールは休暇と称してパイパーとの関係を深めようとしますが,自分は親から捨てられた経験から家庭を作ろうという気はないとはっきりとパイパーに釘を刺します。パイパーもまた初めは前夫の裏切りに深く傷つき,自分もゼフィールとの将来は考えていないと言い切るのでした。しかし,二人は一瞬も離れていられないほど強く惹きつけ合うのです。そして,パイパーの妊娠の可能性。その時から二人の間には友情以上の気持ちが芽ばえ,パイパーはゼフィールに愛を告白するのですが,ゼフィールは自分の気持ちを抑えつけようとするのです。「愛しているから,彼から離れなければいけない」とパイパーは医師の診断の結果をゼフィールに告げずに1週間ゼフィールに連絡を取らずに悩み続けるのでした。二人の肩を押してくれたのは,ゼフィールの親友ネオとその婚約者キャスでした。二人の幸せな顔を見てゼフィールの気持ちの中にパイパーへの愛が正しいものだという気持ちが沸き起こってきます。ゼフィールの行動の時です。法的な手続きを済ませた後ゼフィールとパイパーは,ネオとキャスの結婚式に合わせて自分たちの結婚式を調整するのでした。そしてそこには自分を捨てた母と継父,そして妹や弟たちも参加するのです。親たちを許すようになるまでにパイパーの果たした役割は大きいものがありました。
パイパーも魅力的で自立心に飛んだ女性ですが,やはり前作のヒロイン,キャスは一際特異な存在ですね。本作でも後半登場しますが,その思慮深さと才能の豊かさ,そして人を思いやり,愛する心の純粋さは,これまで読んだ作品のヒロインたちの中でも群を抜いています。
さて,本作がSHALOCKMEMO1200番の節目となる作品となりました。2003年9月2日の第1番から約12年6カ月で1200冊のコメントを書き続けてきたのですが,第1番のコメントがたった3行の本当にメモ書きだったのに比べて,今ではかなりの分量を書くことになってしまいました。あまりパターン化してはいけないと思いながらも,最近の物忘れの激しさを考えると,少なくとも主な登場人物と大まかなストーリーと,そして若干の感想というパターンは事後に思い出すときにやはり助けになります。しばらくはこのパターンでいこうと思っています。
コメント 0