SSブログ

愛までの9カ月 [エリー・ダーキンズ]

SHALOCKMEMO1208
愛までの9カ月 Bound by a Baby Bump 2015」
エリー・ダーキンズ 松島なお子





 原題は「赤ん坊の衝撃に束縛されて」
 ヒロイン:レイチェル・アーチャー(30歳)/役員秘書/ふくらはぎの曲線の美しさ,つややかな肌,長い髪
 ヒーロー:レオ・フェアファクス(?歳)/芸術家/日焼けした首,金色の無精ひげ,青い瞳
 イギリスの編集者兼小説家エリー・ダーキンズの初訳作品です。キャリアガールとしてのエリーの姿がヒロイン,レイチェルに投影されているのかもしれません。また小説家としてのエリーはヒーロー,レオの芸術家としての性格に反映されているようにも思われます。ウェブに見る本人の正面アップ画像を見ると,ブロンドの長い髪がこれまたヒロインに投影されているのかもしれませんね。本作が初訳ではありますが,短編を除きデビュー3作目?にあたるようで,作中にも登場するヒロインの会社の上司ウィル・トーマスとマヤ・ハートリー,さらにはニック・ジョンソンとリリー・ベイカーが主人公を務める作品群がトップページで紹介されています。
 さて本作ですが,一言で言うと,何事も計画を立て,計画どおりに実行していくことをモットーとするキチントサンのヒロインと,先のことまで計画して行動するより自由な発想を大切にして生きている芸術家のヒーローという対極にある性格の持ち主同士が知り合い,二人の間に電流が流れ,一夜にしてヒロインは妊娠し,その後二人がどのように生きようとしていくかということを描いた,ミスマッチカップルのあれやこれやのてんわやんわ,という内容の作品です。ヒロイン,レイチェルは少女のころに留守番をしていた家に泥棒が入り,怖い思いをして以来,両親が過保護になってしまい,そのため親の期待を裏切らないように何事にも計画を立て計画どおり行動することで安心感を得る性分になってしまっています。まさしく会社役員の秘書にふさわしい性格といって良いでしょう。一方ヒーローのレオは父と後妻である母との間に生まれ,先妻の子である兄から母子とも蔑まれ,特に寄宿学校時代は兄が率先して仲間と共にレオを虐め,それを両親は信じてくれないというみじめな生活を続け,大学からはすっかり家を離れ,開放的な海辺の家で芸術家として自立しているという生き方をしてきました。芸術家というとなにやら妖しげですが,海辺の波打ち際に打ち上げられる様々なものや流木を加工して芸術的なものを仕上げていくといういわゆる流木芸術家で,勿論絵も描きますし,家ですら自分で建ててしまうという技術の持ち主です。しかしそのような芸術家ですから,何時何分に何をするという計画的な生き方ではなく,目的に向かうと時間も食事も忘れてしまうという目的追求型の生活が中心です。互いに過去の心の傷を抱え,しかも対極にある性格形成をしてきた二人を主人公に仕立てたことで,物語に深みとすれ違いの面白さを全面に押し出したものに仕上がっています。そして,二人の愛が,努力によって互いに家族との確執を乗り越え,心の解放を実現していくという実にロマンス小説の王道にふさわしいイギリス的作品の典型とも言うべき内容になっていて,充実感あふれるオススメ作品と言えると思います。


タグ:イマージュ
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。