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天使の誘惑 [ジャクリーン・バード]

SHALOCKMEMO1261
天使の誘惑 Guilty Passion 1992」
ジャクリーン・バード 柊 羊子




K-286
15.01/¥670/156p

R-1761
02.04/¥672/156p


 原題は「やましい情熱」
 ヒロイン:レベッカ(ベッキー)・ブラケットグリーン(22歳)/大学研究助手/身長152センチ,すみれ色の瞳,長い黒髪/
 ヒーロー:ベネディクト(ベン)・マクスウェル(34歳)/人類学者/濃い金褐色の瞳,身長180センチ位,広い肩幅,厚い胸,引き締まった腰,驚くほど長い脚,長めの黒い髪,広い額,黒く濃い眉,高いかぎ鼻,角張った顎/
 ベンに出会ってすぐに恋に落ちてしまった22歳のレベッカは,付き合う度にベンに惹かれていきます。周囲の人たちもベンには注意するように忠告してくれますが,恋するレベッカには役に立ちません。時々ベンが見せる自分に対する冷たい目線が何を意味するのかも気付きませんでした。オックスフォードで研究助手を務め,就職のために教職課程を取りたいと考えているレベッカは17歳のとき,ある男性と交際した期間がありました。しかしその男性が事故で亡くなり,深い関係になる前に失ってしまっていたのでした。ところがその男性こそ,ベンの父親違いの弟ゴードンだったのです。ベンはレベッカが弟の死に関係していると母から聞き,レベッカを自分の魅力で惹きつけ,最後の土壇場でこの事実を知らせて復讐しようと思っていたのです。自分が愛してしまった相手,婚約までした相手に愛されるより憎まれていると知ったレベッカ。それから時を遡り,ゴードンとレベッカの過ごした日々の回想が綴られます。しかし,ゴードンの事故死をベンとゴードンの母は,レベッカのせいだとベンに告げていたのでした。しかも当時ゴードンの死が「事故か自殺か」と三流紙に報じられてしまったこともあり,「小柄なロリータ」と報じられたレベッカを恨む気持ちを抱き続けてきたベンが,レベッカを弟の敵と考えたことも当然のことでした。それに気付かず,姓も違うため事情を知らずにベンを愛してしまったレベッカ。そしてベンの正体が単なる人類学者というだけでなく,「M&M(モンテーヌ&マクスウェル)」という電子機器会社の経営者であることが知らされたことによって,それに追い打ちをかけます。それを彼女に告げたのはベンの腕に寄りかかるのが得意なフィオナ・グリーヴズというとびきりの美女とあっては,なおさらレベッカを落ち込ませることになるのでした。
 5年後,シングルマザーとなり,教員として働いているレベッカ。課外活動で生徒を引率してフランスの海岸に出かけたレベッカは偶然ベンに出会ってしまいます。この再会場面に結構なページが割かれていますので,本作の謂わば中心部分の一つです。他の教員や生徒たちにたちまち取り入ってしまうベン。レベッカはベントの出会いを極力避けたかったのですが,周囲からはやし立てられてベンと食事をすることになってしまいます。5年経ってもベンの魅力は損なわれていませんでした。5年前,レベッカがベンの元を立ち去ったとき,ベンは弟ゴードンの死の真相を母親ではなく叔父に確認してみたのでした。そしてレベッカのいうとおり事故であったことを知り,レベッカに対して取ってきた行動を謝罪したいと思っていたのですが,なかなかレベッカの所在が分からず,探しあぐねていたのでした。そして帰国後,ベンがレベッカの元を探し出してきます。レベッカは,「彼が今,私を求めているということは疑いようがない。でも,明日はどうなの?その先の未来は?いいえ,ベネディクトとの間に未来なんてないのよ。」そして,そこにはベンとの間の子ダニエルがいるのを隠し切れなくなってしまいます。ベンはすでにレベッカの同僚からダニエルのことを聞き,5年間その存在をベンに知らせなかったとレベッカを責めるのでした。そしてレベッカに自分との結婚を迫るベン。そこに昼寝から起きてきたダニエルがやってきて,ベンは自分がパパだと名告ってしまいます。混乱すると思っていたダニエルはベンがパパだと聞いて大喜びしているではありませんか。自分が必死で育ててきたダニエルがこんなにも父親を欲しがっていたとは,と傷つくレベッカ。一度は結婚を断るレベッカですが法的手段に訴えてもダニエルを手に入れると脅すベンに,5年前と同じようにこの結婚もまたダニエルの存在をベン知らせなかったことへの復讐なのだと確信するレベッカでした。さらに,あのフィオナ・グリーヴズがベンの会社に勤めていることを知り,「彼が欲しいのは子供だもの。大きくなってさほど母親が必要でなくなったら,あなたはお払い箱よ」というフィオナの言葉に傷つくレベッカ。そして二人の結婚式が行われます。全てを3日間で準備したベン。レベッカの花嫁衣装ですらベンが全て独断で準備したのでした。ダニエルはすっかりパパを好きになり,自分は母親の務めだけ果たそうと決意するレベッカですがベンに愛されていないことへの不安は消えません。二人の結婚生活は惨憺たるものでした。唯一ダニエルを間に挟むときは二人は仲むつまじい夫婦ですが二人きりになると気持ちのすれ違いが明白でした。数日後寝ているベンが突然熱病にうなされたように叫んでいるのに気付いたレベッカ。人類学者としてフィールドワークにいっている間にかかったマラリアに似た病が時々出てきたのでした。主治医を呼び,なんとか落ち着いたベンを見てレベッカはやはりベンを愛し,愛おしく思っていることに気付き,しかも弱ったベンがレベッカに「愛している」と告白するのでした。二人の間には不幸なすれ違いにより何年もの間不信が心が渦巻いてきたのですが,本当は初めて出会ったときから愛がしっかり根付いていたのです。そして紆余曲折を経てそのことを素直に言い合える関係にやっとたどり着いたのでした。「信じられないわ。大きなあなたが152センチのわたしにおびえるなんて。」「そのすみれ色の瞳で冷たくにらまれるだけで充分だよ。知らなかったのかい?」という軽口の応酬が,すでに二人の気持ちが完全に一致したことを思わせる巧みな表現になっています。


タグ:ロマンス
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