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ナニーの秘密の宝物 [キャット・シールド]

SHALOCKMEMO1271
ナニーの秘密の宝物 The Nanny Trap
( Billionaires and Babies 41 ) 2013」
キャット・シールド 長田乃莉子





 原題は「ナニーの罠」
 ヒロイン:ベラ・マカンドルーズ(28歳)/幼稚園教諭,臨時のナニー/深い森の中の湖のような静謐な美しさ,濃い褐色の髪と色白の肌,中西部アイオワ州出身の素朴な娘,ふっくらした頬,形の良い唇,薄い青色の瞳/
 ヒーロー:ブレイク・フォード(?歳)/投資顧問会社CEO/青灰色の瞳,金持ちでハンサムで魅力がある/
 邦訳版表紙のモデルさんはきっとレイチェル・ベイリー「ナニーが恋した大富豪(SHALOCKMEMO857)」と同じ人ですね。明るい表情といかにも幼稚園教諭らしい愛らしさにあふれています。本作はキャット・シールドの初邦訳作品で,感動のディザイアです。作者はミネソタ在住,ロマンス作家協会ゴールデンハート賞受賞のディザイア作家というプロフィールです。本シリーズには3作上梓しているようで,本作はその第1作となります。他にレディ・オリヴィア・ダーシーがヒロインの「Royal Heirs Required(2015)」,未亡人サヴァナ・コールドウェルがヒロインの「The Black Sheep's Secret Child(2016)」があるようです。いずれ翻訳されるのが期待される作家です。
 ニューヨーク,マンハッタンのセント・ヴィンセント幼稚園の門のところから本作は始まります。夏休み前の最後の日,園児たちを送り出す教師のベラのもとをブレイクが訪れ,息子のナニーとして夏休みの期間中来てくれないかと頼みます。奥さんは?離婚した。と事情を話すブレイク。ベラはヴィクトリアとブレイクのフォード夫妻の依頼で代理母として夫妻の息子ドルーを出産したのですが,出産後ヴィクトリアの頼みで一家とは一切かかわらないようにしてきたのでした。8人兄弟姉妹の長女としてベラは常に弟妹たちの面倒を母に変わって見てきていたのですが,独立したいという気持ちが強く田舎からニューヨークに出てきたのでした。ところが長女のかなしさからか,弟妹たちから経済的に頼られる存在になってしまい,何かお金の必要なことがあるとベラの携帯がメールを受信することから逃れられないのです。しかも嫌々ながらもなんとか使用としてしまう自分に嫌気も差していたのですが・・・。ブレイクの頼みを断ろうとしたベラですが,そんなことを考えている間にも妹や弟から何百,何千ドルものお金が年とかならないかと催促が入ります。今回の数ヶ月のナニーとしての仕事にかなり高額の報酬が払われることが分かっていたベラは,断ることが出来ない状況に追い込まれます。原題の「ナニー・トラップ」は,この状況を表していると思います。なにかと家族に頼りにされてしまい,常に他人のために生きてきたベラ。子供が多すぎるために常にあくせくと働くことだけに生きてきた母の様子を見ていたために,自分の子供も結婚も当分は要らないと思いながら,結局は代理母として出産し,しかもその子供は自分の卵子を使って出産する,つまり実子でありながら他人に渡さなければならない子だという皮肉以上の出来事になりながらも,依頼人の妻ヴィクトリアに,子供が混乱するからもう顔を見せないで欲しいと言われてそれに従ってしまうベラの複雑な心境に思わず涙がこみ上げてしまいます。究極の状況に追い込まれながらも,つい他人のことを考えて自分を押し殺してしまうベラの悲しい性(さが)に同情以上の感情移入をしてしまう,そんな作品です。
 さて,ブレイクの元妻ヴィクトリアとその親友であるブレイクの妹ジーナが次々とベラにプレッシャーをかけてきますが,それをブレイクに告げても詮無いこと,結局は自分とブレイクがどんな選択をするか,ということになるのです。そして,ドルーがベラの実子だと書類を見つけて知ってしまったブレイクもまた,ベラにそのことを問いただすことが出来ずにいるのです。それを問い詰めればベラが出て行ってしまうのではという恐れからです。そしてベラに結婚を申し込むブレイク。それが妻という名の子供の世話をする24時間体制のナニーに過ぎないと,愛のない便宜的結婚だと考えたベラは,ついにブレイクに断ってしばらく考えてみたいからと実家に要ってくるといいつつニューヨークの親友に相談に行くのです。ベラに去られて数日後,ブレイクはヴィクトリアの訪問を受け,元の鞘に収まりたいというヴィクトリアの本性を知ってしまいます。そしてベラをあしざまに言うヴィクトリアの言葉によって自分が如何にベラを愛しているかに気付くのでした。その後はハッピーエンドに一直線になるのですが,ここまでの二人の気持ちのすれ違いの緊張感がたまらなく素晴らしいイチオシ作品です。キャット・シールドのストーリーテラーぶりと心理描写の見事さが光る作品,これからの翻訳が楽しみです。


タグ:ディザイア
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