パリの青い空 [シャーロット・ラム]
SHALOCKMEMO1303
「パリの青い空 Dangerous 1981」
シャーロット・ラム 加藤しをり
原題は「危険」
ヒロイン:ローラ・クローフォード(?歳)/療養中の看護師/ほっそりした華奢な体つき,褐色の髪,色白の肌/
ヒーロー:ドメニコス・アエゲソス(?歳)/富豪/すらりとした長身,せっかちな歩き方,頑固そうに張り出した顎,引き締まった褐色の肌,鼻筋が通り,髪は黒,180センチ以上の身長,幅広い肩/
働き過ぎで肺炎を悪化させてしまった看護師ローラ。病後の療養を兼ねて16歳の少女アマンダとその祖母グレイ夫人の付添人兼家庭教師としてパリへ旅立つことになります。父親に反抗して奇抜な服装ばかりするアマンダ。「年長者をからかい,相手が怒り出すまで反抗を試みて楽しんでいる」ティーン・エイジャー独特の行動パターンを父親のギリシア系富豪のドメニコスは理解できずにいます。4歳で実の母に死に別れ,8歳の頃から寄宿学校に追いやられていたアマンダの心中をおもんぱかり,ある程度自由を与えつつ信頼を勝ち得ようと少しずつアマンダの心の中に入り込んでいくローラの見事な話術が光ります。18歳の頃からずっと同じ病院で看護師としてくる日も来る日も病院の中で生活してきたローラにとっては,我が儘を言う患者に対応する仕方はお手の物でした。ローラ自身は15歳の時両親とともに乗っていた車の事故で自分だけが助かり,その後看護師の道を目指してきたのです。ユーモアのセンスにあふれつつ真面目な性格のローラ。娘のアマンダばかりでなくグレイ夫人の信頼も得,ドメニコスも仕事を兼ねてパリにやって来ます。パリ見物で出会った少年ピエールとその叔父マルセル・マランとの交際が始まってしまいます。その様子を見て嫌みを言ったりマルセルを敵のような目で見るドメニコス。自分の命に従わずに次々とアマンダやグレイ夫人の信頼を得てしまうローラに,実はドメニコスが最も惹かれていたのでした。しかし自分の母親であるグレイ夫人の過去の過ちを絶対に許せない気持ち,そして妻に裏切られ,一人娘を押しつけられてしまい,その娘すら反抗ばかりしているドメニコスにとっては女性は絶対に信頼してはいけない存在。そんな思いを隠そうともせずにローラとマルセルの関係を疑ってかかり,さらにはアマンダと親しく話すピエールを遺産目当ての危険な存在と思い込むドメニコスに,実はローラも惹かれていくのでした。何故に?と思ってしまうのですが,そこは恋は理屈を超えるということなのでしょう。やがて和解の時がやって来ます。「君のような人は初めてだ。例外のない規則はないというが,君はその例外かもしれない。君のことだけは僕も本当に信じられそうな気がする。」と,ドメニコスに言わせるまでになりますが,ローラはそれでもまだ気を許せません。そして女性を信じられなくなったドメニコスは自分の心の傷を打ち明け始めます。その心の傷を癒やしたいと思ってしまうローラでした。「愛とは僕が考えていたようなものとは違うらしい。」「みんなそうよ。愛ってそういうものなのよ。何が出てくるか誰にもわからないわ」「愛はクリスマスのようなものだな」という二人の会話がパリを舞台にとても洒落ていて素敵な作品です。
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