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黒猫 [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO1328
黒猫 Satan's Master 1981」
キャロル・モーティマー 加藤しをり




PB-176
16.08/¥700/156p

R-0287
83.12/¥500/156p


 原題は「サタンの主人」
 ヒロイン:サビーナ・スミス(19歳)/新聞社の共同経営者の娘/長い金髪,グリーンの瞳,すらりとした脚線美/
 ヒーロー:ジョエル・ブレント(34歳)/歌手/180センチを越える身長,真っ黒な髪,灰色の瞳,たくましい筋肉と引き締まったウエスト/
 タイトルだけを見るとちょっとおどろおどろしい感じのホラーないしはロマサスかと思ってしまいますが,純粋なロマンスものです。新聞社の共同経営者の娘サビーナは26歳年上の父の会社の共同経営者と婚約中ですが,相手は3度目の結婚,そしてサビーナ自身は勿論初婚。これまで父の言うとおりに唯々諾々と過ごしてきたサビーナですが,愛のない結婚にどうしても踏み切れないで,婚約自体をちょっと考えてくると,一人スコットランド,ネス湖周辺に出かけていきます。自転車で観光地巡りをするつもりで天候の変化を甘く見て出かけていくと,突然霧が濃くなり道も見えなくなってしまいます。おまけに自転車のタイヤもパンクしてしまい,しかたなく自転車をひきながら歩いて行くと,一軒の家を発見しドアをノックするのですが・・・。返事がなく窓から中をのぞいてみるとそこに光る緑色の二つの目が。黒猫?ちょっとこの当たりまでの雰囲気が幻想的でどきっとさせられる場面。そして後ろから低い声で「なにをしている」と声を掛けられ,さらにびっくり。こんなふうに始まる物語ですが,これが世捨て人のように暮らすジョエルとサビーナの出会いでした。ジョエルは1年前に妻を自動車事故で亡くしましたが,その責任マスコミにたたかれ,世間から身を隠していたのでした。そしてその中傷記事を書いたのが父の新聞社であることを知ります。名前を聞いても自分が誰かは知られないだろうとサビーナは思いますが,相手があのジョエル・ブレントだと気付くまでに時間がかかりました。そして事の真偽を明かしてくれないジョエル。しかもジョエルは自分をさらに中傷するために探し訪れた新聞記者だと思い込んでいます。自分の父が新聞社主だと正体を知ればさらに自分を誤解するだろうと,敢えてそのことは黙ったままにせざるを得ませんでした。それから奇妙なジョエルとサビーナと黒猫サタンの共同生活が始まります。そして一週間ほどの生活の後,次第にジョエルに惹かれ,ジョエルもまた自分を欲しいと言ってくれるようになりますが,自分は婚約中の身。もう婚約者ニコラス・フリードとの結婚はしたくないとはっきり分かったサビーナですが,家に帰してくれない,そして愛しているの一言も言ってくれないジョエルとそのまま生活するわけにはいかなくなります。きっと亡くなった奥さんを忘れられないんだわと思いつつも,ジョエルへの想いも断ち切れないサビーナは,自らの愛をジョエルに告白するのですが。ジョエルの仕事の完成祝いと村のパブで食事をしていると二人の男性が自分たちの方を見ています。そして翌日,ジョエルが村の郵便局に出かけている間にこの二人の男性に拉致されてしまうのでした。その二人は父の姪を受けて,サビーナを連れ戻しに来たのでした。サビーナの父チャールズ・スミスは共同経営者の会社のお金を使い込んでしまい,なんとしても娘を共同経営者に嫁がせなければならない事情があったのです。それで時間稼ぎをしてその間に使い込んでいた金を元に戻そうとしていたのでした。もしこのことがニコラスに知られてしまえば自分は破滅だと嘆く父を見捨てられずに,サビーナはニコラスとの結婚を予定通り勧めざるを得ません。そんな時,サビーナはジョエルのコンサートがロンドンで開かれることを知ります。そしてニコラスは婚約者へのびっくりプレゼントとしてこのコンサートのチケットとその後のパーティへの参加を計画していたのでした。事情を知らずにコンサートに来たサビーナは,ジョエルの目の前の席でその歌声にうっとりと聞き入ってしまいます。そして休憩時間に呼び出されて楽屋へ行ったサビーナ。肝心なことは言えずにスコットランドのコテージから盗まれたジョエルのものを返して欲しいと要求されます。これを口実にまたジョエルと会えるかもしれないと密かに期待するサビーナ。コンサートでジョエルが歌う歌が,亡妻ニコールを思う歌だと思い,サビーナは寂しい思いをしますが,黒猫サタンが元気がないと知らされ,週明けに再び会う約束をしてしまいます。その後サタンにふさわしい一軒家を捜すという名目でジョエルに会い続けるサビーナ。ところがコンサートの後のパーティで出会ったニコラスの2番目の妻(最初の妻はすでに亡くなっている)ナンシーとはすっかり腹を割った話ができるようになってしまいます。そしてジョエルとサビーナが車を返しにニコラスのフラットにいってみるとそこにはナンシーがいたのでした。そこから話しは急展開します。
 結末はなんと言っても傑作です。サビーナとジョエルの寝室のベッドの下に隠れていたサタンがなんと・・・。原題の意味もここではっきりします。とてもほっこりした結末に,まさにロマンス作品の王道を行くストーリーテラー,モーティマーの面目躍如とした1981年(邦訳は1983年)の傑作。楽しめます。


タグ:ロマンス
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