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悲しみの白い薔薇 [キャロル・マリネッリ]

SHALOCKMEMO1340
悲しみの白い薔薇 The Cost of the Forbidden
(氷の掟 2) 2015」
キャロル・マリネッリ 山科みずき





 原題は「禁じられた代価」
 ヒロイン:ナオミ・ジョンソン(25歳)/個人秘書/濃茶色の髪,ふっくらした唇,丸い頬,濃茶の瞳,フローラル系の香り/
 ヒーロー:セバスチャン(セヴ)・デルジャーヴィン(歳)/IT専門家/ブラウン(灰黒色)の瞳,黒髪,白い肌,長い脚/
 「大富豪の約束なき情熱(SHALOCKMEMO1321)に続く,キャロル・マリネッリの「氷の掟」シリーズの第2弾でロシアの養護施設で育った兄弟同然の4人の同士たちのシリーズです。前作のヒーロー,ダニールとヒロインのリビーは結婚し,二人の子供がまもなく産まれようとしています。本作では,この二人の他に,ヒーロー,セヴの私的にも仕事的にも親しい友人シーク・アレムとジャマール夫妻という魅力的なカップルも登場します。この二人のロマンスもそのうちシリーズの中に入るかもしれませんね。ヒーロー,セヴの家族関係についても登場しますが,ヒロイン,ナオミの家族関係もちょっと複雑なようです。父親は後妻を迎え,異母妹たちとの関係はすこぶるよいのですが,両親との関係はよくありません。実父アンダーソン・アンダーソン(姓名が同じ)に無視され,なんとか父に自分に振り向いて欲しいと願う娘のナオミは,時折実家にプレゼントをたくさんかかえて帰るのですが,留守番や家事を頼まれるだけで,体の良い家政婦のように扱われ,あまつさえ父の50歳の誕生パーティにすら呼ばれないという状況です。そしてもちろんヒーロー,セヴもまた親に捨てられて養護施設で育ち,母親と姉には見向きもされていません。さらには養護施設時代の親友ニコライの命を救うことができなかったという罪悪感をずっと抱えて生きています。11月12日のバッキンガム宮殿での再会を願いつつ・・・。
 さて,本作は個人秘書募集にナオミが応募してきたところから始まります。当初はセヴに気に入られなかったナオミですが,現秘書が書き置きを残して去ってしまったことから,謂わば仕方なく(それでももう一人の秘書候補がいたのですが)破格の待遇でナオミを雇うことになります。24時間体制ですべての時間を雇い主のために費やす覚悟で務めなければならないこの仕事。その見返りとしての給与やボーナスは数ヶ月で一財産になろうかという金額。しかも衣装準備費から住まいまで提供されるという。なんとか蓄財して父に認めてもらおうとするナオミにとっては,願ってもない条件ですが,現在アンドルーというフィアンセと婚約中の身。そんな長時間にわたる勤務に耐えられるだろうかという不安と裏腹に,ボスとしてのセヴに男性としての魅力を感じ,強く引きつけられながら仕事を優先しなければという板挟みにも苦しみます。何かと出張で自家用機で世界中を飛び回るセヴに同行しなければならないことも負担です。しかし,ナオミは見事にボスの要求に応えていきます。そしてアンドルーとの婚約を解消してしまうのでした。もはやアンドルーには魅力を感じなくなっていたからです。もともと父に認めてもらおうと生活の安定のために無理やり承諾した婚約でしたから,それっきり連絡も取らずにいます。終盤,このアンドルーが登場し事件を起こすのですが,それでナオミの気持ちが変わるわけではありませんでした。邦題の「白い薔薇」は,セヴが女性との交際に飽きてしまい,別れるときに秘書であるナオミがセヴの指示で相手女性に送るものです。個人秘書だけにボスの私生活も含めてすべてのことに気を配らなければなりません。仕事の内容は多岐にわたるようです。それでもその要求に応えられるだけの素晴らしい能力にナオミは恵まれていたようです。しかし当初の契約の3カ月をなんとか乗り切り,シーク夫妻の要請でドバイを訪れたとき,ナオミはセヴに辞表を出します。セヴは引き留めもせずに辞表を受け取り,後任の個人秘書の人選を指示するだけでした。この後はロンドンに立ち寄る予定でしたから,そこでナオミは元の生活に戻るつもりでした。二人の間にある男女の感情の火花をみてとったセヴの友人でもあるシーク夫妻は,一計を案じ,ドバイでの仕事の合間に二人が休暇を過ごしつつ互いの気持ちに気付かせようとします。この地を去ったのちは後腐れなく別れることになり,二人は思い出づくりに目眩く時間を過ごします。そしてロンドン。この地での目的をセヴは誰にも言わないでいます。11月12日のバッキンガム宮殿前。その話しをナオミにだけは話すセヴでした。ところがロンドンの空港でいきなりアンドルーが現れ,セヴにパンチを浴びせます。セヴは数分間気絶してしまい,ナオミは自分のせいだとセヴの介護をするのでした。これが最後の秘書としての仕事・・・。さて二人の関係はこれで終わるのでしょうか,さらにナオミと両親の関係は?またセヴと家族の関係は・・・。
 シリーズの中核でもある4人の養護施設仲間の動向も描かれます。前作の主役のダニールとリビーもセヴとナオミの二人の関係にかかわりハッピーエンドを迎えるのですが,次作(原作が2016年5月刊)への予告めいたローマンとアーニャ,そして謎のニコライも登場し,エピローグは締めくくられます。


タグ:ロマンス
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