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フィアンセに片想い [クリスティ・ゴールド]

SHALOCKMEMO1342
フィアンセに片想い His E-mail Order Wife
(愛と裏切りのコネリー家 8) 2002」
クリスティ・ゴールド 南 和子





 原題は「彼のEメールでオーダーした妻」
 ヒロイン:クリスティーナ・シモンズ(27歳)/教師/身長180センチ,豊かな胸とヒップの女性らしい体型,アイルランド系らしい赤褐色の髪,大きな茶色の瞳,ふっくらした唇,日に焼けた肌/
 ヒーロー:ドルー・コネリー(27歳)/繊維会社コネリー社海外経営担当副社長/青い目,ウエーブのかかった黒い髪/
 このブログの親ウェブ「ロマンスは危険」発足当時(2003年8月)から注目していたシリーズ「愛と裏切りのコネリー家」についに手を出し始めました。当時はまだノーラ・ロバーツやサンドラ・ブラウンといった大御所の作品,そしてのちに「富豪一族」シリーズからヒストリカルへと興味の対象を移していき始めたロマンス小説への入口にたどり着いたばかりの頃で,ディザイア作品にはあまり興味を持っていなかった時期でしたが,シリーズをまとめてみると1年間に及ぶ12冊のシリーズというのは出版的にもかなり充実した,また一面リスクにも直面したシリーズ翻訳になったのではないかと思います。連作シリーズは作家によって出来不出来の差が大きいときがあり,売れる,売れないの差が激しい面もあろうかと思いますが,読者側からしても読破にちょっと我慢のいる場合もあるのではないかと思います。クリスティ・ゴールド作品をまとめているうちに本作が目に入り,13年前に注目していた本シリーズを本格的に読みたいと思わせる作品に当たったように思います。第1作目から読んだわけではありませんので,シリーズの前提がよく分かりませんが,時折作品中に登場するコネリー家の人々が,シリーズを読み進めればわかるのだろうと半ば楽しみでもあります。かつて「富豪一族」シリーズを読み始めたときも,その全貌をとらえることはなかなか難しく,長期間かかって「伝説」や「肖像」に手を出していきましたが,その後すっかり飽きてしまい,またHQ側のPR不足もあってか全巻制覇はなかなか難しく,未だに取りそろえて・・・というわけにはいかなくなっています。また「チャッツ・フィールド」シリーズのような最近も原作が書き続けられているシリーズの訳もまだまだ原作を多数残したまま,シーズン○○という形で何年かにわたって断続的に出版されていくことだろうと思います。シリーズ物は登場人物がときおり再登場するため,旧知の人に出会ったように,その後どうなったの?という興味を惹くので安心感がありますが,同時に飽きっぽい私にとっては続けて読むことでちょっとうんざりしてくるという面があることも否めません。3部作からせいぜい6部作ぐらいまでが限界でしょうか。そういう意味でも本シリーズの全巻制覇まだまだ先の長い話になりますので,ここで全部読むぞと言う宣言はしないで置きたいと思います。
 さて,前置きが長くなりましたが,本作の魅力はなんといってもヒーローとヒロインの出会いの設定がユニークです。孫の再婚の心配をしている祖母のリリーが,孫ドルーの海外出張中にひ孫のアマンダ(マンディ)と共謀してドルーの再婚相手をウェブサイトへ紹介し,1カ月にわたってドルーになりすましてメールのやりとりをし,ドルーが帰国する日に合わせてシカゴのコネリー家を訪問させ,無理やり会わせてしまうという設定なのです。そしてマンディがその秘密をドルーに話してしまいます。「パパに奥さんを見つけてあげたの」という言葉とともに・・・。大柄で女性らしい体型のクリスティーナは,幼児教育の専門家。「見かけだけで男性から判断されてきた。平均以上の身長と豊かすぎるほどの胸やヒップをもてあますことはなくなってきたものの,違う体型だったら良かったのにと望んだことは一度や二度ではすまなかった」と自分の体型に自信のないクリスティーナですが,ドルーはそんなクリスティーナの内面の美しさに惹かれてしまうのです。すでにメールで何度も(往復50通ほど)言葉を交わしているマンディとクリスティーナは出会った瞬間から共感し合い,ドルーはそのことにも困惑してしまいます。仕事が忙しく亡き妻が悩んでいたことに気付かないまま薬の多量摂取で亡くなってしまった苦い経験から,もう同じ苦しみは味わいたくないと思っています。なんとか祖母のリリー・コネリーが自分になりすましてEメールを送っていたことを知られないうちに,クリスティーナにこの偽婚約の解消を申し出させたいと思いつつも,次第にクリスティーナから離れがたくなっていきます。マンディのお泊まりパジャマパーティへの参加や,亡くなった妻タリアの物であったピアノをマンディとクリスティーナが弾いている様子をみて,腹を立てながらも,幼児教育の専門家クリスティーのマンディへの接し方を見て,再婚もありかな?思い描くようになるのでした。クリスティーの方も出会った瞬間からドルーに惹かれるものの,両親から冷たくされて成長してきた自分がコネリー家のような大家族の中で戸惑いを感じていることに結婚への怖れを感じてもいるのです。ユーモアのセンスに富むクリスティーナとドルーの会話は次第に熱を帯びていきます。そしてジェニーヴァ湖の近くのロッジで家族で週末を過ごす計画を母親のエマ・コネリーに話したとき,クリスティーナを家族に紹介するように計画を立てられ,婚約者としてクリスティーナを家族に紹介せざるを得ないことになってしまいます。しかし互いの思いを二人ははっきりと言い出せず,それでも婚約者の振りをしているうちに,周囲はすっかりクリスティーナをドルーの婚約者として気に入ってしまいます。「ドルーにとって気晴らし以上の存在になりたい。彼のすべてになりたい。それ以下で納得することはできないわ。」という気持ちの高まりにクリスティーナは深い関係を望むようになって行きます。しかし亡き妻に対する思いをドルーが断ち切れないでいるだろうと一方でドルーを思いやることも忘れないクリスティーナでした。楽しいロッジでの週末の間にリリーが二人っきりにしてあげようと画策し,ついに二人は結ばれるのでした。ところが,Eメールを出したのがリリーだったことをマンディが明かしてしまい,クリスティーナは裏切られた気持ちになり,腹立ちの気持ちをドルーにぶつけるのでした。「明朝一番で家を出て行きます。」こう宣言するクリスティーナをなんとかなだめ,これからも彼女を守っていきたいと願うドルー。さて二人の関係は発展するのでしょうか・・・。
 お茶目で孫やひ孫を心配するリリーの大胆な行動。そして気付かないうちに息子の再婚相手としてクリスティーナを応援してしまうエマと,コネリー家の大家族主義に巻き込まれてしまうクリスティーナの幸福感が随所に伝わってくる温かい作品です。


タグ:ディザイア
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