迷子の花嫁 [リアン・バンクス]
SHALOCKMEMO1346
「迷子の花嫁 The Five-Minute Bride
(プリンセスをつかまえて 1) 1997」
リアン・バンクス 鈴木リコ
原題は「5分間の花嫁」
ヒロイン:エミリー・セント・クレア(25歳)/令嬢,慈善事業家,美術修士/シミ一つない透き通るような肌,ばら色の頬,かすかに開いた唇,ブロンドの巻き毛,青い瞳/
ヒーロー:ボウ・ラムジー(歳)/保安官/長身,黒く豊かな髪,黒い眉,茶色の瞳/
98年のディザイアがKINDLE版になっていましたので,購入しました。「ルールは不要」シリーズの前のシリーズということで,作者初期の作品といって良いのでしょう。3部作のこのシリーズは幼なじみのエミリー,マディー,ジェナ・ジーンの3人がヒロインとなり,それぞれが愛をつかみ取るまでのロマンスです。
シリーズ1作目の本作は良家の令嬢エミリー・セントクレアがヒロインです。舞台はノースカロライナ州ラクストンという小さな町。待ちの保安官ボウ・ラムジーは3人の姉にしょっちゅう身を固めるように圧迫を受けているのですが,気軽な独身生活を諦めるつもりはありません。そんなボウのもとに飛び込んできたのは高価なウエディングドレスを身にまとって結婚式から逃れてきたエミリーでした。良家の令嬢にふさわしく母や義理の父のいうことをひたすら聴いてきた良い子だったエミリーはどうしても愛してもいない親の決めた男性との結婚に踏み切れずに,結婚式をドタキャンして逃げてきたのでした。このエミリーの存在が町の男性たちに大きなざわめきをもたらすことになります。町のダイナーで働き始めたエミリーを見ようと男性客たちが押しかける中,町の平和を守る立場のボウは次第にエミリーに惹かれていきます。大学でコンピュータを副専攻にしていたエミリーは郡の申し出を受けて昼間は保安官事務所でデータ整理やコンピューの扱いの指導をし,夜はウエイトレスと忙しい日々を過ごしますが,そんなとき親友のマディーとジェナが訪ねてきます。そしてボウとの関係を見事に見抜いてエミリーをけしかけ去って行くのでした。果たして結婚式をドタキャンして1カ月ほどで他の男性に惹かれて良いものだろうか。必至にボウへの思いを自分に否定しようとするエミリー。450人もの招待客を裏切って結婚式をドタキャンした自分を母親は決して許してくれないだろう。今さら家に戻ることもできない。しかし,ボウとの間の温度は急激に高まり,二人はついに愛を交わします。これまで独身主義を貫いてきたボウもまた,自分に何も要求しようとしない,無私の愛を捧げてくれたエミリーに気持ちが高まるばかりです。そしてついにボウはエミリーにプロポーズするのでした。
良家の令嬢として育ち,親のいうままに暮らしてきたエミリーが自分の生き方と生きがいを見直し,ボウへの愛をベースにして自己実現していくまでを描いた成長譚です。爽やかで思わず微笑んでしまうエミリーとボウのやりとりでほっこりあったかい読後感をもたらす良著です。シーズン第2作目は,御転婆娘マディーがヒロインです。
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