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悲しいすれ違い [サブリナ・フィリップス]

SHALOCKMEMO1353
悲しいすれ違い Greek Tycoon, Wayward Wife
( Self-Made Millionaires 2 ) 2010」
サブリナ・フィリップス 霜月 桂





 原題は「ギリシア人富豪と強情な妻」
 ヒロイン:リバティ(リビー)・デリカリス(旧姓:アッシュワース)(?歳)/旅行会社「ケイト・エスケープ」ツァー・コンダクター,ライアンの妻,貴族の令嬢/豊かなブロンドの髪,繊細な顔立ち,小麦色のきめ細かな白い肌/
 ヒーロー:オライアン(ライアン)・デリカリス(?歳)/レジャー会社経営/力強い顎,つややかな黒っぽい髪,澄んだブラウンの目/
 結婚してから5年。結婚数週間で一日18時間も働くようになった夫との結婚生活に満足できずに家を出たリビーは,5年後に離婚申立書を手に夫の会社を訪れます。邦題のとおり,二人の間の溝がなかなか埋められないのは互いの本当の気持ちがずっとすれ違っていたためだということを最後まで引きずっていくストーリー展開です。なんともはやこんなにもすれ違うのか,そしてすれ違いの原因は?ということを作者は手を変え品を変え披露して見せます。いや読ませます。すれ違いの手の内が読者に明かされるためますますイライラ感がつのり,同時に哀れみを感じさせ,「悲しい」という言葉どおりになっていく展開に,読後,してやられた感が逆に爽やかさをも感じさせる見事な作品です。
 2010年版のHQロマンスの更新の段階で,作者の作品を整理してみて,本作と「ひと月だけの恋人」の2作を購入しました。「プリンスの秘密(SHALOCKMEMO567)」では,地中海の島国モンテズを舞台にした作者ですが,本作はギリシアが舞台。ツァー・コンダクターをしているリビーは,夫に離婚申立書にサインをもらい,この5年間宙ぶらりんだった二人の関係に終止符を打とうとアテネを訪れます。「遂に自分のもとに帰ってきたか」と期待を膨らませるライアン。この1年女性と触れあう機会もなく鬱々としていたライアンは今,会社の経営だけではなく,古里のメタメイコスの市長の座を賭けて選挙運動を開始したところだったのです。市民に受け入れられるためには身持ちの堅さや幸せな結婚生活を送っているというイメージづくりが何よりも求められていると選挙参謀から忠告を受けたばかりでした。そんなこととはつゆ知らないリビーはまさに「飛んで火に入る」状態だったわけです。「とりあえず2週間だけ一緒にメタメコスに行ってくれれば書類にサインしよう」というライアンの言葉に,まだ二人がやり直せる機会があるかもしれないと密かな期待をしたリビーですが,彼の地で出かけたパーティで,初めて夫が選挙の候補者であることを知ります。「あぁ,また,私は利用されただけだった。5年前と同じ過ちを繰り返している」とがっかりするリビーですが,二人の間の相性は抜群で異性として惹かれ合う関係は5年前と同じです。とりあえず2週間を過ごし,きっぱり別れよう,という気持ちのリビー。リビーはかつて父親から何から何まで指示されたとおりに生きるしか道がなかったため,なんとか自立して名前どおり「リバティ(自由)」に生きたいと願っていました。結婚によってその道が開けると期待したリビーに,君は働く必要がないと,また家に縛り付けられる生活,しかも夫は忙しくて話しをする暇すらないという状態に耐えきれずに家を飛びだしたのでした。一方ライアンは貧しく育ち,ドアマンから上り詰めてリビーの父親に昇進させてもらい,ある程度の地位に立ったときにリビーにプロポーズしたのですが,リビーの父親に冷たく一蹴されてしまい,身分の違いを嫌というほど思い知ったのでした。その後二人は駆け落ちしてアテネに落ち着いたのですが,リビーが自分の元を去ったのはやはり身分の違いのせいだと思い込んでいたのです。かつて双子の弟を貧しさゆえに治療を受けさせてもらえず肺炎で亡くしたライアンは,富豪となり,故郷に錦を飾って市民のための病院をつくるなど市民生活の改善に邁進しようと決意して選挙に立候補したのでした。自分にかまってもらえないのは自分に魅力が内政だと思い込んでいたリビーもまた,ライアンの過去を聞き,今自分がライアンを支えなければと理解ある妻の振りをするのですが,それでもライアンには喜んでもらえず,関係を深めることができませんでした。そして選挙前日,明日が終われば二人の謂わば契約的なこの生活も終わりだという気持ちからか二人は深い関係を結びますが,リビーが避妊薬を服用していることに驚いたライアンは,二人の関係が元に戻って2世誕生を期待したのは間違いだったとリビーを責めます。ライアンが子供を欲しがっていることにすら驚くリビー。でもやはり二人の間には深い溝があると別れを決意します。翌朝離婚申立書にサインしたライアンに別れを告げて,タクシーを呼んだリビーですが・・・。
 最後の最後まで二人は本当に別れる,ロマンス作品には珍しい悲話かと思ってしまうほど劇的な最後の一節でした。これが作者にしてやられたと思わせられる本作の幕切れです。


タグ:ロマンス
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