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領主を愛した代償 [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO1359
領主を愛した代償 Leonetti's Housekeeper Bride 2016」
リン・グレアム 山本翔子





 原題は「レオネッティの家政婦の花嫁」
 ヒロイン:ポピー・アーノルド(23歳)/家政婦の娘,バーテンダーのアルバイト/燃えるような赤い髪,きらきら光る緑色の目,ふっくらした唇,身長170センチ,引き締まったふくらはぎ,なめらかな膝,長くほっそりした腿,ホイップクリームのような白い肌,細い肩に掛かる赤銅色のシルクのような巻き毛/
 ヒーロー:ガエタノ・レオネッティ(29歳)/投資銀行CEO/たくましい体,ウエーブのかかった黒い豊かな髪,黒い眉,濃い金色の目,身長190センチ
 家政婦ものですが,正式な家政婦ではなく,父の死後アルコール依存症になってしまった母に替わって日中は家政婦の仕事をこなし,夜はバーテンダーのアルバイトをするという頑張り屋の女性ポピーがヒロインです。バーテンダーとして務められるぐらいですのでそれなりの美貌を持ち,しかもそれを全く鼻にかけず,母の世話や失職中の弟ダミアンの面倒も見るというスーパーレディ。働くことをいとわず,しかも物語中盤で出てきますが怪我をして路上にうずくまっている犬の面倒も見ようとする心の根の優しい女性です。しかし単に優しいだけでなくしっかりと自分の考えを持ち,安易に人の言うことに妥協しない「芯の強さ」を持っています。ここでちょっと「芯の強い」人をネットで検索してみたら,その特徴として6つのポイントが挙げられていました。(1)自分の生き方にポリシーを持っている。(2)どこか余裕がある。(3)言葉に一貫性がある。(4)一匹狼なることを恐れない。(5)潔さがある。(6)愚痴や泣き言を言わない。というものでした。これはすべてポピーに当てはまるような気がします。アーノルド家の雇い主であるガエタノ・レオネッティは,投資銀行の経営者。しかしその実権は祖父のロドルフォが握っており,老齢(74歳)になってきたためガエタノにCEOを譲ろうとします。しかしその条件は・・・。ロドルフォは21歳で漁師の娘と結婚し,妻が亡くなるまで仲むつまじく生きてきました。二人の息子であるロッコは世に知られたプレイボーイで息子のガエタノが生まれてからも放蕩の限りを尽くし妻では亡い女性のベッドでなくなってしまいます。ガエタノの母もまたガエタノを引き取ろうとせず,彼は祖父母に育てられたのでした。自分に両親の血が流れていることで自分は人を愛せないのだと思い込んでいます。29歳になった現在,ガエタノが身を落ち着けて仕事だけでなく幸せになって欲しいというのがロドルフォの願いでした。これまでが得たのがつきあってきた女性はいわゆる表面だけ美人の中身のない女性ばかり。ロドルフォの条件は「生活の些細なことに喜びを見出す普通の娘」との結婚でした。「結婚して身を固めろ,家庭を大事にする女性に子を産ませて父親になれ,そうすれば世界はガエタノの思うがままになる」というのが祖父の言葉でした。ガエタノが領地の屋敷「ウッドフィールド・ホール」に突然戻ってきたのは先日行われたパーティでガエタノが帰った後客たちが少々羽目を外しすぎて,その記事が写真入りで新聞に載った事件が起こったからでした。「情報源は家政婦だったのか?」「記事の中に名前が出ている。あまり賢い女じゃないな。」という弁護士の言葉に愕然としたガエタノが屋敷に着いてみるとそこにいたのは家政婦の娘ポピーでした。ガエタノはポピーを責めまくります。そしてその説明を聞こうともしませんでした。アルコール依存症のポピーの母ジャスミンは酒を買うお金を得るためならば何でもするような状態だったのです。記事のネタを売ったのは母,そして母に頼まれて写真を撮ったのは弟でした。ガエタノはポピーに敷地内にある庭師の家(ポピーの父は庭師でした)から即刻出ていくように言ったのです。16歳の頃からポピーはガエタノと親しい間柄になることを夢見ていましたが,「僕は使用人には関心がないんだ」というガエタノの言葉に傷ついていました。当時のポピーはガエタノの言葉によると「ちびでデブの赤毛で全然僕の好みじゃない」というような体型でした。それを言われてからはポピーはガエタノを避けるようにできるだけ屋敷から離れていたのです。それが今ではすっきりと身長も伸び,さらに誰にも負けないぐらいの綺麗な長い脚をしてガエタノの前に現れたのです。「まん丸だった顔は贅肉が取れて魅惑的なハート型になり,頬骨と細い鼻が強調されている。ふっくらした唇はピンク色でどんな男も惹かれそうだ。」と感じたガエタノ。「出ていけ」と罵られたポピーですがそんなことではポピーは負けません。「私の目的がなんなのか話すチャンスさえくれなかったくせに。あなたってほんとうにへりくつをこねるのが好きね!」と言い返されたガエタノは,年下の女性からそんな非難を浴びせられたことに愕然とします。ガエタノは「それなりの退職金を・・・」と譲歩すると「あなたの汚れたお金を恵んでもらう気はないわ」と言下に否定され,さらに驚くのでした。自分のお金に興味を持たない女性は初めてでした。「母と弟は私の家族よ。父が亡くなって母と弟は悲しみや辛さをなかなか乗り越えられない。だからって二人への愛情が薄れると思う?それどころかもっと愛しくなる。」と反論するポピーに,ガエタノはある企みを考え出したのでした。「不釣り合いな婚約者をでっち上げることで今の苦境から逃れられるとしたら・・・」と,ポピーを婚約者に仕立て,祖父の元へ連れて行き,祖父の怒りがポピーに向けられたら結婚という呪縛から逃れられるのではないか,とガエタノは考えたのでした。翌朝,ガエタノは無理やりポピーをヘリコプターに乗せ,祖父の元へ連れて行きます。祖父の家の近所の別荘を持つガエタノ。朝食を食べながらガエタノはポピーに便宜的婚約についての提案をします。母の治療費と弟の就職先を餌にちらつかせながらポピーを説得するガエタノ。「祖父はいつも僕に庶民の娘を選べと言うが,僕が知っている中でその条件に当てはまるのは君だけなんだ。」と。「迷う余地はなかった。母を立ち直らせるためなら,どんなことでもやってみる価値はある。」とポピーは承諾します。
 ところが,ガエタノの思惑とは全く違う方向に物事は進んでいきます。祖父ロレンツォはすっかりポピーが気に入ってしまいます。ガエタノの予想に反して祖父とポピーはすっかり馴染んでしまったのです。しかも祖母のものだったという指輪すらポピーに与えてしまうのでした。「もう君はうちの嫁も同然だから」といいながら・・・。そして祖父の75歳の誕生日パーティに二人で出席することになります。ポピーは祖父の誕生日祝いにかつてガエタノの祖母セラフィーナから教えてもらったケーキを作り,ロレンツォにプレゼントするのでした。どんな高価なものでもない,何気ないポピーの気遣いにロレンツォは大喜びします。「ポピーは美しいだけでなく,優しく,思慮深い,しかも料理までできる。」と手放しでポピーを褒めるロレンツォ。ガエタノは「自分で自分のかけた罠にはまった」とガエタノは感絵混んでしまうのでした。ガエタノの家に住みながらも,ポピーは夜にウエイトレスとして働くと言ってガエタノを立腹させますが,ロレンツォは自立しようとするポピーに賛成します。このことにもガエタノは驚くのですが,婚約が破棄されてしまえば自分が自立することは大事なことだと言われ,偽の婚約だという建前からガエタノは承諾せざるを得なくなるのでした。ロレンツォの言いつけで1カ月半ほどで結婚式を挙げざるを得なくなります。ガエタノのフラットにかつての恋人セリーナが現れ,ポピーにあなたはいずれガエタノに捨てられると言い放っていきます。
 100人を越える招待客をまねいての結婚式がレオネッティ家の教会で開かれます。ところが初夜を終えたのちにポピーは突然倒れてしまいます。結婚式の準備とウエイトレスのアルバイト両方を兼ねていたポピーは疲労と栄養失調に襲われていたのでした。そして病院で薬を飲んだことにより,ピルが効かなくなってしまったのです。数週間してから妊娠に気付いたポピー。それを話したときのガエタノの冷たい言葉と驚きの表情。自分の愛がガエタノに通じなかったことにポピーは愕然とします。「僕は感情というものにうまく対処できない。怒りや情熱や野心は得意分野だが,深く柔らかな感情についてはだめなんだ。」とガエタノは結局自分がポピーにふさわしい夫にはなりきれないと認めるのですが・・・。
 いわゆるシンデレラ・ストーリーではありますが,なんといってもポピーという自立心に溢れ,明るくたくましく生きるヒロインの姿が読者を惹きつけその行動が感動を呼ぶイチオシの作品です。


タグ:ロマンス
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