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ガラスの家 [ミシェル・リード]

SHALOCKMEMO1360
ガラスの家 House of Glass 1993」
ミシェル・リード 松村和紀子




HQB-155
08.05/¥590/203p

R-1346
97.09/¥672/156p
HQSP-070
14.09/¥540/208p


 原題は邦題そのまま
 ヒロイン:リリー・ノーフォーク(旧姓:ブレナン)(24歳)/主婦/しとやかな美しさ,小柄で華奢な体,短く癖のない淡い色の金髪,ベビーブルーの瞳,無邪気で愛らしい口/
 ヒーロー:デイン・ノーフォーク(30歳)/実業家/すらりとした鼻,太く黒い眉,グレイの目,黒髪,浅黒い肌,きりりとした厳しい顔立ち,長身/
 生涯一度の愛,そしてその思い出に生きること。これが本作のテーマです。ちょっと重いテーマを見事に描き出した大御所ミシェル・リードの作品です。原作は1993年で,名のある家イギリスのノーフォーク家。父はとんでもないプレイボーイでスキャンダルにまみれていました。デインとダニエルの兄弟の祖父から兄弟に科せられていたのはスキャンダルを起こさないことでした。そのために本当の姿を隠していなければならない生活を表面的に送る,つまりくずれやすい「ガラスの家」状態だったのです。ダニエルとリリーの結婚もやはりスキャンダルを隠すために行われたのでした。ノーフォーク家代々の牧場に住んだダニエルとリリー。そこもまさに「ガラスの家」でした。当時はまだダニエルの性癖が社会的に認められることはなかったでしょう。義兄デインと出会ったときから彼に惹かれてしまったリリーですが,父の事業の経営不振と母の病気をなんとかするためにはダニエルとの間に便宜的な結婚をせざるを得なかったのです。そして,ダニエルの突然の交通事故死。デインはダニエルの愛人であるマークをリリーの愛人と誤解し,徹底的にひどいことをリリーに言います。しかしリリーはダニエルの性癖をデインに言っても信用されないだろうとデインの思いたいように思わせていくのです。例え自分が非難されようとも・・・。葬儀も終わり,このまま牧場「レフトン・グランジ」での暮らしに耐えられなくなったリリーは,オーストラリアで過ごしている両親の元で過ごすことにします。空港近くのホテルで一泊しているとき,デインがリリーの元を訪れます。自らデインへの思いを告白し,身を投げ出すリリー。これが初めての男女の関係だったことに驚いたデインに問い詰められ,リリーはダニエルとの結婚生活の本当の姿を話すのでした。案の定デインはリリーの話を信じようとしませんでしたが,やがて,半年間はリリーを両親の元で過ごさせようと期限を切ります。その後も同じ気持ちだったらという言外の気持ちを匂わせたままデインとリリーは別れを告げます。
 明日で約束の半年の期限が切れるという深夜,リリーは香港に住んでいるマークに電話して,半年前のことの真相をマークに相談します。マークはダニエルとの愛人関係を「生涯一度の愛,そしてその思い出に生きること」と一言で言い表します。さらにリリーへのアドバイスとして「行ってチャンスを掴むんだ。つかめるチャンスは全部つかむことさ,リリー。さもないと自分が一体何を取り逃がしたのかすら分からずに一生を終えることになる。」と話すのでした。しかしリリーはイギリスへの帰郷を躊躇しています。「あのガラスの家。忌まわしいガラスの家。もしデインが今も私を求めていたとしても,世間の目からすれば,それは許されないことなのだ」「半年では足りない。一年ならまだしも」と決断がつけられないまま物思いに沈んでしまいます。2週間後,リリーの父の元にデインから「帰ってこい」とファクスが届きます。しかし世間から後ろ指を指されるいき待っている暮らし,ガラスの家に戻ることを躊躇するリリーは「ガラスの家をどうするつもり?」と書いてファクスを返信するのでした。さらにそれに対する反応は?・・・。
 あまりにメロウな作品で,好き嫌いが分かれそうです。粗野で男らしいデイン。対照的に明るく笑いに包まれたダニエル。その間で揺れるリリーの立ち位置が微妙な人間関係を生み,ダニエルの秘密が明かされるまでは想像はしていてももう一捻りあるのではないかと期待させて後半まで読ませます。結末はありきたりですが,電話でのマークとリリーの会話が本作のテーマをしっかりと主張しているところはさすが大御所と感じさせる作品です。


タグ:ロマンス
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