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イタリア富豪の秘密の休日 [キャシー・ウィリアムズ]

SHALOCKMEMO1367
イタリア富豪の秘密の休日 The Surprise De Angelis Baby
( Italian Titans 2 ) 2016」
キャシー・ウィリアムズ 南 亜希子





 原題は「デ・アンジェリスの驚きの赤ちゃん」
 ヒロイン:デリラ・スコット(21歳)/クルーズ船の臨時絵画講師/姉とコッツウォルズのコテージのギャラリー経営,ネプチューンとムーンの娘/背が高くてすらりとしたからだ,赤から赤褐色までさまざまな色合いが混ざっている髪,キャラメル色の肌/
 ヒーロー:ダニエル・デ・アンジェリス(29歳)/リゾート会社社長/身長190センチ,兄よりやや明るい髪,グリーンの目,ブロンズ色に焼けた細い左右対称な顔,黒くて濃いまつげ,くすんだブロンドの髪/
 サントリーニ島から始まる地中海クルーズ船の旅。そんなすてきな前半の物語です。「シンデレラは偽りの妻(SHALOCKMEMO1349)」で登場したデ・アンジェリス家のテオの弟ダニエルが本作のヒーローで,テオとアレクサは家族の関係でちょっとだけ顔を出します。ダニエルは経営状況の妖しいクルーズ船を買収しようと,地中海クルーズの旅にサントリーニ島から乗り込みます。ダニエルはクルーズ船ランブリング・ローズ号のオーナーのジェリー・オクリーは大富豪の父親から受け継いだすばらしい船を海賊でさえ見逃しそうな代物に変えてしまったと考え,自分が買収に成功したら,乗組員の誰を残すべきか誰を整理すべきか実際に数日間乗船してみて見極めようと思っていたのです。船内を廻っているときに気付いたのは絵画教室の講師でした。絵心などは全くないダニエルでしたが,そんな自分にもていねいに説明してくれるデリラに興味を持ったダニエルはバレリーナのように優雅なほっそりした体型の女性,普段自分が好んでつきあっているグラマーな体型の女性とは正反対で,着ているものも身体の線を隠すような野暮ったい格好の女性に好意を抱いてしまう自分に驚いています。かつて自分を裏切った女性ケリー・クローズを思い出すと,自分の財力にばかり興味を持ってしまう女性という存在を信用しないで独身でいることを信条としているのを当然と思っていて,アレクサという女性と結婚した兄のテオの気持ちを信じられない思いで眺めているのですが,この飾り気のないデリラという女性は,これまで知った女性とは全く違う存在であることを,何日間の交際の末に分かり,そしてデリラから離れられなくなってしまうのでした。数日間しか休みを取っていなかったダニエルはクルーズに乗っている期間を延長し,数日から数週間へと日延べしながら,デリラと深い関係を続けていくのでした。初めに深い関係になったとき,デリラもまた自分を真剣に求めてくれ,目眩く時間を二人で過ごすことができたのですが,やがて二人とも船を下り,さらにはもう二度と会うこともないだろうということは互いに確認し合っていたのです。最後に船を下りるとき,デリラはもうダニエルを愛してしまっていたのですが,二人の間に将来はないことは充分分かっていました。そして,ダニエルが本当は富豪であり,自分が働いてきたこのクルーズ船を買収するために自分を利用したことを知り,再び男性に裏切られたことに深く傷ついてもいたのです。
 下船から1カ月ほどして,デリラは自分の体の変調に気付き,検査薬で調べてみて妊娠していることの気付きます。そのことをダニエルも知るべきだと思ったデリラはロンドンの会社にダニエルを訪ねます。そこで妊娠のことを話すと,ダニエルは予想外の行動を取るのでした。初めから二人の将来は結婚という形には結びつかないと思っていたデリラはシングルマザーとして生きて行くことを想定し,ダニエルが子供の養育費の負担と,時々子供に会にくること位しか考えていませんでした。「ダニエル・デ・アンジェリスのように傲慢でうぬぼれの強い男が私の突然の来訪を全く違う風に受け取るであろうことを考えもしなかった。彼は私が負けを認めて戻ってきたと思っているのだ。彼との関係を辞めたところから再開するために。それも,自分がお金を私の鼻先にぶら下げたからだと思っている」「本当にお金が欲しくて私がここまで来たと思っているの? お金と交換に体を差し出すために?」「気の毒な人ね」「女はみんなお金目当てだと信じるあまりに,そんなものをなんとも思っていない女性もいるとは考えもしない」というデリラの痛烈な非難の言葉にダニエルは驚きますが,子供という存在にダニエルは感動を覚えていたのでした。「僕は子供の人生に積極的な役割を果たすつもりだ。たまに会うだけではそれはできない。それから親権を争うこともしない。君がどこかで出会った男に子供の親権を取られるのはゴメンだ。もちろんぼくも独身気分で女の後を追うつもりはない。」といいながら,ダニエルはデリラに結婚をいいだしたのでした。ダニエルは愛のためではなく子供と自分の体を求めているだけだとこの便宜的な結婚の申し出を冷めた視点で捉えたデリラですが,次々に自分のことを心配してやさしい気配りを持って接してくれるダニエルに次第に心を開いていきます。しかしダニエルの優しさが愛に基づいたものだとは信じられないデリラ。ダニエルは果たしてこのデリラの心の冷たい塊を溶かしていけるのでしょうか。
 いつもどおりにキャシーの作品は最後が唐突に終わってしまいます。本作もいつもの終わり方ですが,それも彼女の作品の魅力の一つなのでしょう。突然足場を外されたような強烈な余韻で締めくくられます。前作のアレクサが大人の魅力を持っていたのに比して,本作のデリラはいかにも若い,しなやかな美しさと芯の強さを持ったヒロインでした。


タグ:ロマンス
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