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奇跡を授かったシンデレラ [スーザン・メイアー]

SHALOCKMEMO1368
奇跡を授かったシンデレラ Pregnant with a Royal Baby
(ザヴィエラの花嫁 1) 2016」
スーザン・メイアー 八坂よしみ





 原題は「王家の赤ちゃんを授かった妊婦」
 ヒロイン:ヴァージニア(ジニー)・ジョーンズ(25歳)/スクールカウンセラー/長い金髪,男心をそそる体,小麦色の肌/
 ヒーロー:ザヴィエラ国皇太子兼財務大臣(?歳)/ドミニク(ドム)・サンチョ/長身,肩幅が広くきらめく黒い瞳,非の打ち所のない唇/
 スーザン・メイアーのザヴィエラ国を舞台とした連作の第1作です。続編「Wedded for His Royal Duty」では本作のヒーロー,ドムの弟王子アレックスと本来ドムと結婚する予定だった王女エヴァのストーリーが語られます。いずれ訳書がでるでしょう。昨年11月以来スーザン・メイアーの作品は2作読了していますが,ほんのり温かいストーリーと魅力的な登場人物など,ロマンス読者の要望に応えてくれる作品が多く,作者の温かい人柄が感じられます。本作も深刻なクーデター場面が登場しても決して流血場面などがなく,対応に追われる国王の策略に面白いように嵌まっていく皇太子の姿がなにか笑いを誘ってしまうなど,皮肉と笑いが溢れた作品に仕上がっています。さて,王家の跡継ぎをつくるための政略結婚を予定していた皇太子ドムですが,テキサス州テラ・マスに住むスクールカウンセラー,ジニーに出会ってしまうと,その美貌と人を惹きつけずにはおけない人柄にすっかり参ってしまい,ついにジニーの妊娠という結果を招いてしまいます。王家の子供を身ごもった女性をアメリカに放って置くわけにはいかずに,祖国ザヴィエラに連れ帰り結婚することになります。婚約予定だったエヴァは弟のアレックスに押しつけられてしまうのですが,元々政略結婚だったため,本作ではあまり問題にはなりません。しかし父王が妻,つまり兄弟の母親を病で亡くした後すっかり国政を投げ出して悲嘆に暮れていた様子を間近で見ていたドムは,愛が人を弱くさせ,ましてや国民の生活と安全を守る王としての責務を投げ出したとしか思えず,結婚はしても愛することはできないと強く思い込んでいるのです。一方思いがけない妊娠により結婚を余儀なくされたジニーの方は,子供のためというだけの結婚では満足できません。しかし愛するドムの心情に寄り添い,ドムの言い訳に何も言わずに次々と周囲の人々の信任を得ていくのでした。そして王家に反抗するシークをも一時は取り込んでしまうのです。特にジニーと子供を守ろうとする警護官たちからは絶大な信任を得てしまいます。そして二人の結婚式のために現役教師の母をアメリカから呼び寄せたドムの心遣いにますます惹かれてしまいます。その母のローズはドムの父である現国王となんとツーカーの関係になってしまいます。次々に愛が芽ばえていくサンチョ家の様子がとても微笑ましく,あまりにご都合主義かと思えますが,なにより読者の意向に沿っていくそのストーリー展開に安心感を覚えながら読み進んでいけます。さて二人の間のカタルシスはどこで起こり,それがどんな結末に至るのか。そこが作者としての腕の見せ所でしょう。そこで起こるのがシークによるクーデターという国家最大の危機です。そして間が悪くそんな時月足らずで生まれてしまう二人の息子。命名の案に登場する「スタートレック」のカーク船長の名前など,そこにも思わず笑いを誘う要素がちりばめられています。そして無事産まれる子供の名前は?そして国王が皇太子に課した大きな宿題とは?一気読み間違いなしの楽しい作品です。


タグ:イマージュ
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